00520_消費者に対する重大事故が発生した場合、経営者としての弁解・謝罪メッセージの設計・構築方法

消費者に対する重大事故が発生した場合、経営者はどのように申し開きをするべきでしょうか。

経営者が考えなければならないのは、消費者の信頼を失わないことと、必要以上に法的責任を負担しないことです。

多くの事故は
「過失」
によって生じます。

法律は、一定の例外を除いて、
「過失」
によって生じた事故についての責任は負担すべきとしていますが、何の過失もないのに、被害が出た以上はすべて責任を負え、などという無過失責任は許していません(過失責任主義)。

そこで
「過失」
とは何か、が問題となるのですが、一般的には、注意義務に違反したことなどと定義されています。

要するに
「被害が予測されるような状況では、それを防止するべき具体的な義務があったはずなのに、それを漫然と懈怠した」
ということを指します。

この
「注意義務」
は、ビジネスの業態や、その時々の管理体制、担当者の能力等の様々な要因によって判断されますが、経営者が
「われわれの責任でした!」
と何の留保もなく言明してしまった場合には、
「経営陣は、危険な状況を理解していたのに何もしなかったから、責任がある、と言っているのだな」
と間違いなく思われてしまいます。

要するに、
「過失があった」
と自白しているのと同じなのです。

過失を自白する対応は、法的責任(=民事法上の損害賠償責任や、会社法上の任務懈怠責任等)に直結するため、最も採ってはならない対応といえるでしょう。

もちろん、
「ウチにはなんの責任もない! 直前に食べた何かがよくなかったに違いない!」
みたいな客観的事実に相違する責任転嫁は、消費者の信頼を喪失することとなりますので、このような対応も採り得ません。

したがって、法的責任を基礎づける
「過失」
の自白にはならないように、でも、消費者に対する説明も一定程度は行っているかにみえるような、玉虫色の表現で釈明せざるを得ないのです。  

もちろん、玉虫色とはいっても、法的責任に程遠いつっけんどんな表現から、一定程度は責任を認めて消費者に受け入れられやすい表現までいろいろありますので、その中から、法律家のアドバイスを受けながら適切な表現を選択すべき、ということになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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