競業禁止条項を作る際の注意点として挙げられるのは、地理的範囲や、業態、期間を限定することが重要です。
「どこであろうと、永遠におまえはこの商売に関わってはいけない」
なんて内容は、職業選択の自由を奪うものであり、公序良俗に反して、無効と判断される可能性が大きいからです。
ですから、
「東京都内で向こう1年間はダメ」
とか
「弊社で用いている独自のノウハウは使わない」
といったように、具体的に禁止される競業の内容を限定する必要があります。
また、普通、念書や契約書で約束したことは当然遵守することが期待されますが、紙片一枚のことですから、念書や契約書で約したことを平然と違約するような輩も実に多くいます。
そうした場合、契約違反を理由に損害賠償請求をしていくわけですが、ここで損害額の立証がネックになります。
競業されたことによる損害や、機密を漏洩されたことによる損害の立証は困難を極めます。
そこで、このような念書には
「違約罰」
を明記してやる必要があります。
違約罰の存在は、従業員の裏切りに対しての、強力な抑止力になるでしょう。
なお、労働基準法第16条では違約金の定めの禁止を定めています。
労働契約が終了した個人と法人との間には当該条項は適用されないとも考えられますが、保守的に考えるのであれば、トーンダウンすることも考えるべきでしょう。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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