00546_会社の種別と、「有限責任」「無限責任」の意味・本質

会社の種類ですが、会社には4つの種類があります。

合名会社、合資会社、合同会社、そして株式会社です。

みなさん、これらの違いってわかります?

これらの違いを説明するには
「有限責任」
「無限責任」
というものを理解する必要があります。

会社が倒産した場合に、出資者が出資した金額を損してしまうのは当然として、それ以上に、債権者(金貸しや使用人や取引先)からの請求に対して責任を負うかどうかというのが
「有限責任」
「無限責任」
の理解のポイントです。

無限責任というのは、上の例で、
「会社が倒産し、出資金額を食いつぶしても債権者への支払ができなかったら、出資者がケツをもつ」
という責任形態です。

有限責任というのは、上の例で、
「会社が倒産しても、出資者は出資金の限度でしか責任を負わないので、最悪、出資金が戻ってこないことさえ覚悟すれば、それ以上債権者から追及されることはない」
という責任形態です。

この責任形態の区別をもとに説明しますと、
合名会社とは、出資者は連帯して無限責任を負う法人形態、
合資会社とは、無限連帯責任を負う出資者と有限責任を負う出資者が混在する法人形態、
合同会社と株式会社は、出資者は例外なく有限責任しか負わない法人形態、の会社です。

こんなこというと、
「ウソだよ、そんなの。中小の株式会社が破産すると、オーナー社長は一緒に破産するじゃないか」
とかいうツッコミが入りそうです。

この現象は、中小企業においては、オーナー社長は連帯保証をしているからです。

すなわち、銀行等は、上記の有限責任制度を前提とした上で、株式会社の出資者が享受している有限責任のメリットを、
「連帯保証」
という別の契約法理によって、放棄させているのです。

よく、
「オーナー(社主、株主)だが、取締役にはなっていない、会社の“事実上”の代表」
というタイプの会社があり、当該会社が左前になっても、オーナー(社主、株主)は一切責任を負わず、悠々と逃げおおせる、という形で
「うまいことやっている」
例に遭遇しますが、このやり方は
「有限責任」
という仕組に基づくものです。

「有限責任」
というと、何か責任を負っているかのような印象を持ちますが、
「会社が破綻すれば、株式が紙切れになるが、それ以上の責任は一切なし」
というのが
「有限責任」
の内容で、会社法上、資本金が1円でも設立できますので、法律上の
「有限責任」
とは、一般的な社会常識上は
「無責任」
という意味と理解されます。

そして、オーナー(社主、株主) は、創業期において差し入れていた連帯保証を、すべて外させ、後継社長に変更していたりしますので、会社が多額の負債を負っていても、僅かな出資金を放棄すれば、道義上はともかく、法律上、責任は一切発生しません。

「会長」
だとか
「社主」
だとか
「名誉顧問」
だとか
「ファウンダー(創業者)」
だとか
「相談役」
だとかの肩書で、どんなに会社の運営に肩入れしようが、個別に連帯保証しない限り、
「出資者=有限責任(出資金を超えた債務は無責任)」
との理屈が優先します。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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