00693_文書管理の基本その1:原本(オリジナル)と写し(コピー)

裁判手続きにおける適式な証拠とは原則として原本を指します。

写し(コピー)は証拠として信用性がないものとして扱われるリスクがあります。

この取扱には、いろいろな背景や理由があります。

ハードコピーだろうが、PDF等のソフトコピーだろうが、別に証拠としても良さそうな気がしますが、裁判における事実認定に供する以上、偽造や改ざんの可能性を排除できない以上、まともな書証として取り扱わない、というのが裁判所のスタンスです。

それと、民事裁判の実体として、かなり、イージーでカジュアルで何でもありの無法地帯となっています。

ウソや誤魔化し、誇張にインチキ、果ては偽証に偽造が蔓延する世界です。

10万件単位の裁判があり、すなわち、どちらかがウソをついてる事件が10万単位で、偽証罪の摘発が2、30件程度、というのが民事裁判の実態です。

これは、暗に、民事裁判はウソつき放題であり、裁判でウソをつかない方がバカ、ということを国家として暗に黙認している、そんな狂気の現実が垣間見られます。

こんな状況で、事実認定の最低限を保障する原本による確認実務が放擲され
「コピーも原本並みの証拠として扱う」
なんて運用が始まったら、お座なりとはいえ実態の堕落を食い止める最低限の建前すらなくなり、文書まで嘘つき放題という凄まじい状況となることが予測されます。

加えて、契約書等の取引内容の証拠文書には、印紙税の貼付を求められており、これが税収財源となっておりますが、コピーでも構わない、となると、誰もわざわざ印紙を貼って契約書を作ろうという動機を喪失し、税収財源が減り、国家財政への負担が増します。

こういう事情もあり、司法・行政においては、いまだに原本を異常なまでに偏重する手続運用システムが根強く残っているのです。

なお、
「印紙を貼っていない契約書は、裁判所で証拠提出できるか」
と聞かれることがありますが、印紙税法に違反した文書であっても、証拠としての価値は厳然と存在しますので、問題なく、証拠として事実認定に供することができます。

三権分立の思想が確立しているせいか、税の問題(行政の問題)があっても、裁判(司法マター)はまったく問題として扱いませんので。

以上のとおり、紛争が訴訟に至り、裁判所に一定の事実を認めてもらおうとしたときは、必ず原本の提出を求められます。

したがって、特に、重要な事実を立証する紛争予防道具としての文書、すなわち契約書や議事録といった文書については、保管管理をする際には、原本と写しを明確な区別ないし区分管理をした上で、原本の厳重な保管が必要となります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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