00763_企業法務リスク発見(抽出)・特定の手法5:リスクや課題の発見・特定するための具体的なスキルの実装

リスクや課題の発見・特定するための具体的なスキルを実装するには、

・まず、所属企業(自社)の事業活動の全容の把握と理解
・所属企業における事業活動と法令体系との整理・統合
・所属企業の事業活動に対応した「法令違反リスク」についてイシュー・スポッティング・ツール(リスク・ハザードマップ)の作成
・“法律”に基づく経営ではなく、“常識”に基づく経営を志向(「常識とは、社会人になるまでに身につけた偏見のコレクションである」)から脱する
・法律は、常識とは無関係に、特に、経済人・企業人のバイアスの塊である「経済常識」 「経営常識」とむしろ対立する形で作られ、遵守を強制される、ということを理解する
・「自分の常識なり感覚なりを信じる経営」「迷ったら、横をみて(同業者の常識と平仄をあわせる)、後ろを振り返る(これまでやってきたことを踏襲すれば大丈夫と楽観バイアスに依拠する)経営」が一番危険であることを理解する
・「危険を感じられない。というか、そもそも不安にすら感じない」という事態の危険性に陥りがちな自分や周囲を戒める
・法令違反リスクで、危険を感じる場面というのは、「崖から落ちて、海に着水する直前(=すなわち手遅れ)」の状態であるが、たいていの経営陣の危機感受性、このようなもの。早めに、刺さるようなプレゼンで、危険を正しく伝える

といったことが推奨されます。

そして、発見・特定されたリスクを経営幹部へ啓発する場合も、相応のマナーがあります。

特に、レポート等文書で報告する場合、きちんとリスクが伝わるようにすべき必要があります。

知的専門分野に関する文書は、3つに大別されます。

すなわち
「データ」

「リタラシー」

「ストーリー」
です。

条文や法律や漢字がやたらめったら多い分厚い法律書は、データであってコンテンツではありません。

コンテンツとは、リタラシーを改善・向上させるような本質的なことが書いてあったり、リタラシーを用いて状況が改善するプロセスを描いたストーリーの、いずれかです。

やたらとデータに詳しいからといって、その人間が、リタラシーに長け、ストーリーを語れるか、というと、そうとは限りません。

むしろ、データばかりマニアックに追いかけている人間は、教養がなく、リタラシーが欠如し、ストーリーを描けない可能性があります。

そして、役員に、法律に関する経営課題を提議する際、データを羅列しても辟易されるだけとなります。 

彼らには、リタラシーとストーリーを語るべきであり、それが、
「刺さる」プレゼンの
極意です。  

開成中学を受験する小学校6年生が、
「なるほど」
「そうやらいいのか」
と感心して食いつくかような内容・本質が語られているか、どうか、がメルクマールです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所が提供する、企業法務の実務現場のニーズにマッチしたリテラシー・ノウハウ・テンプレート等の総合情報サイトです