有事(存立危機事態)対処というプロジェクトは、 社内の誰も経験したことのない、アブノーマルな事態に対処するものであり、滅多に起こらないし、故に誰も正解がわからない、というか、そもそも正解があるかすらわからないプロジェクトです。
もちろん、常識や良識や陳腐な考え方では太刀打ちできません。
といいますか、
「常識」自体
「物心つくまでに身に着けた偏見のコレクション」
ですから、そんなものが通用する範囲は限られています。
さらに、正常性バイアス、楽観バイアスといった、われわれの頭脳に巣食う思考における偏向的習性は、非常時、有事、リスク局面においては、すべてバイアスによる想定が裏切られ、このバイアスに依拠した考え方を捨てない限り、どんどん状況は悪化します。
しかも、この種の
「危険な状況に対応するチエやロジックや相場観」
は、カタギとしてフツーに暮らしてこられた一般のサラリーマンの方も、そのご両親も、学校の先生も、学校の先輩も、会社の先輩も、まったくご存知ありません。
「有事(存立危機事態)」
すなわち
「社内の誰も経験したことのない、アブノーマルな事態」
に対処しようとしても、自身も含め、社内外の関係者の誰も知らないし、対応する能力も知見もスキルも経験もない、ということを謙虚に認めましょう。
そして、常識で通用しないことに不安を感じましょう。
危険を感じましょう。
不安を感じることは、
「正常性バイアス、楽観バイアスといった、われわれの頭脳に巣食う、有事においては危険で有害この上ない、思考上の偏向的習性」
から脱却するために、もっとも大事なプロセスです。
正解がわからない、正解がないかもしれない。
ただし、最善解はあるはずです。
「合理的な目標を設定し、効率的な試行錯誤を行ない、正解ではないにせよ、最善解を求める」
という姿勢構築・態度決定がまずは大切な第一歩です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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