「ウソつきは、ドロボーのはじまり」
といいますが、ウソをつくことは罪なのでしょうか。
「ウソつき」行為一般
を処罰する法律はありません。
考えてみれば、当たり前の話です。
お世辞をいったり、年齢をごまかしたり、武勇伝を語ったり、ウソをついたことすべてを犯罪にしていたら、社会はギスギスしたものになりますし、癌の告知など、真実を伝えるとかえって残酷な結果をもたらすことが想定される場合にはウソをつくことが積極的に推奨されることもあります。
ただし、
「ウソをつく行為が犯罪になる場合」
というのも、あるにはあります。
偽計業務妨害罪、虚偽公文書作成罪、有価証券虚偽記入罪等です。
たとえば、裁判で証人が宣誓をしてウソをついたら偽証罪に問われます。
しかし、民事裁判が200万件/1年間あるなかで、偽証罪で立件される件数は、多くて23件/1年、少なくて4件/1年です。
この数字は、ウソをついても偽証罪でペナルティを受ける可能性はほとんどない、ということを意味します。
言い換えると、多少事実と違うことを言っても、日本では法制度として裁判所は許している、ということです。
正しい法律的理解を前提とすると、
「ウソをついても、何ら犯罪にはならない。だが、特定の身分において、あるいは特定の状況においてウソをつくと犯罪とされる場合もごく例外的にあるので、注意した方がいい」
というべきでしょう。
「ウソをついたら、ドロボーと同じように刑務所に収監される」
これこそが、まさしくウソです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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