01054_名誉毀損はどういう場合になる?(教えて!鐵丸先生Vol.009)

名誉毀損というと、ウソを言って相手の評判を下げる、というイメージがあるかもしれません。

法律的には、本当のことを指摘すると名誉毀損成立です。

本当のことであっても、他人のイメージダウンになるようなことは言いふらしてはいけない、というのが正しい法律理解です。

ただし、例外はあります。

公益を図る目的があれば、デマでなく、本当のことであるという証明材料を整えた上で、他人の醜聞を言いふらすのは、名誉毀損にはならない、というものです。

政治家のプライベートが、週刊誌で暴かれても、それ自体は罪にならず、本当かどうか、証拠があるのかどうかということに限定して争われるのは、そのような法的理解が前提となっています。

尚、名誉棄損で訴えた場合の慰謝料は、とても安いです。

「慰謝料はほとんど見込めない」
と、わかっていても、争われることがあります。

たとえば、醜聞を拡散された有名人が、
「黙っていると認めたことと同じことになってしまう」
からと週刊誌等を訴えざるを得ない場合もあるのです。

最近は、誰もがSNSで簡単かつ気軽に、世界に向けて言いふらしができますが、
「本当のことだからつぶやいていいだろ」
「世間で話題になっている社会的テーマだから、いちいち裏付けとか取らなくても、噂ベースでも発言しといてもいいだろ」
という感覚だと、大きなトラブルになる可能性があります。

ここで、名誉毀損という愚かな行為を避けるための訓戒をご紹介しましょう。

「褒める言葉が無ければ何も言うな」
ということです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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