企業が特定の事業や取引の法令適合性を調査する場合、行政機関に対して法令解釈を照会する方法(ノーアクションレターの採取)も有益です。
企業が新商品を販売したり、新事業を立ち上げたりする際、当該企業活動の法令抵触の有無が明らかでないため、行政処分や刑事処罰をおそれて必要以上に萎縮する場合があります。
特に、日本の場合、これまで裁量行政が多く活用されてきたこともあり、監督行政機関が突然、思いもよらぬ形での異議を出すことがありえ、企業に萎縮効果(チリング・エフェクト)が働きます。
ノーアクションレター制度とは、アメリカ証券取引委員会の法令適用事前確認手続を参考に作られた制度で、企業が検討している事業活動がはらむ許認可等の取得の必要性や行政処分・罰則等の適用可能性について、監督行政機関に事前に見解を求める手続であり、実施のガイドラインは、各省庁ごとに個別に定められています。
正式な事前確認の照会があれば、行政機関は一定期間内に回答をすべき義務を負います。
ただ、回答については、行政機関のウェブサイトに公表されますので、企業としては事業の保秘が困難になるという点に注意が必要です。
当該照会に関して必要となる
「照会書」
の様式について次に掲げておきます。
例えば、
「ある規制法令の適用を受けないこと」
についてノーアクションレターを得ておきたいというときには、
「当該適用法令」
を記載し、次に、
「自社が将来自ら行おうとする行為」
についてなるべく具体的に(必要ならば図表等を用いて)記載を行います。
行政機関は当該照会書に表れた事実だけを前提事実として判断を行うため、判断の基礎とすべき事情は多い方が正確な意見が得られることになります。
その上で、
「自社の行為には当該法令の規制が及ばないこと」
について自分の意見を論理的に述べることが必要です。
これらの記載方法については、様々な企業による照会書が各省庁のウェブサイト上に公表されていますから、これらを参照しながら、作成していくことになります。
照会書の記載例は、次のようなものです。
運営管理コード:CLBP54TO56
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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