01091_アセスメント・環境整備フェーズ>法務活動・フェーズ1>文書管理(フェーズ1B)>(3)文書の種類

なお、文書の種類についてですが、法律の世界で重要な分類は、
1 原本か写しか、
2 処分証書か報告証書か、
という点です。

裁判手続における適式な証拠とは原則として原本を指し、写し(コピー)については記載された事実を立証するための証拠として信用性がないものとして扱われるリスクがあります。

その意味では、原本と写しとは明確に区別されなければなりませんし、原本は厳重に保管される必要があります。

また、契約書等の権利や義務に関わる文書は
「処分証書」
として訴訟等の手続で決定的な証拠となりますが、体験した事実を述べたに過ぎない文書(報告証書)は法的に争いのある事実を間接的・補助的に裏付ける意味しかありません。

その意味では、前者(処分証書)は記載内容をシビアに確認するとともに、保管についても適正になされなければなりません。

ところで、日本では、日頭によるものであれ、文書を取り交わすものであれ、当事者の意思が合致していれば契約の成立を認める法制(意思主義)を採用していることから、契約書は原則として契約成立の要件ではなく、契約成立を示す証拠書類の1つとして扱われます。

すなわち契約書は、当事者が任意に作る合意形成の証拠に過ぎず、方式等は特段定められておらず、体裁や記載内容は作成者の完全な裁量に委ねられています。その意味では、題名に
「契約書」
と書いていない
「覚書」「確認書」「意向表明書」「承諾書」「通知書」「連絡」等
といったタイトルの文書であっても、その記載内容が一定の法的合意を示すものであれば、契約成立を直接示す証拠書類、すなわち、上記
「処分証書」
と取り扱われることもあります。

したがって、
「処分証書」

「報告証書」
との区別については、タイトルだけで判断せず、内容まで吟味して整理する必要がありますし、
「契約書というタイトルがないから、それほど重要でない」等
といった安易な気持ちで、契約に関連する内容が記された文書に押印する態度は危険です。

また、株券や手形、小切手は、有価証券として、文書そのものが権利を表章しますので、小日現金と同等の管理が必要です。

ゴルフ会員権証書や機器保証書は有価証券ではありませんが、紛失の場合には譲渡が煩瑣となりますので、やはり有価証券に準じた管理が必要と思われます。

許可証・免許証等の行政文書や、判決・決定・公正証書等の司法関連文書も、立場や地位を確実なものとし、権利を実行するのに必須のものですので、こちらも厳重な管理が必要です。

株主総会議事録や取締役会議事録、株主名簿や会計帳簿については、会社法上、本店保管が義務づけられていますので、保管面のコンプライアンスも意識する必要があります。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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