01110_経営政策・法務戦略構築フェーズ>法務活動・フェーズ2>戦略法務(フェーズ2B)>(4)種別>中小企業>破産・再生分野

企業が破綻し、破産・再生手続を進める場合、
「どのような法形式を用いるべきか」
を考察するにあたり、法の知見を利用して、戦略的に手続を構築していくことが行われます。

企業が法的手続により再生する場合、考察すべき点は、
1 経営陣が退陣させられるか否か
2 担保権や租税債務の負担が残るか否か
という点です。

この点、従来の慣行・運用によると、
「会社更生法を適用して企業再生を行う場合は、手続上、担保権や租税債務は吹き飛ばすことができるが、このような過激な措置の代償として、経営陣は退陣させられる」
「民事再生法を適用して企業再生を行う場合は、経営陣は残留できるが、手続上、担保権や租税債務の負担を吹き飛ばすことはできない」
というドグマがありました。

しかしながら、
「会社更生法上、『経営陣は総退陣しなければならない』などと明記されているわけではなく、『会社更生をして、銀行(担保権者)に迷惑をかけるなら、経営陣は責任を取って退陣すべし』というのは経営陣のモラルハザードを防止するという趣旨に基づいて事実上守られている単なる慣行(非法律的取扱い)に過ぎず、絶対墨守する必要があるわけではない」
という点から、会社更生と民事再生を“いいとこ取り”したハイブリッド型手続が編み出されました。

これがDIP型会社更生手続と呼ばれるものです。

企業再生戦略を構築するにあたり、DIP型会社更生手続を用いることで、経営陣は、その地位を追われることなく、再生にとって重荷となる銀行の担保権や租税債務を吹き飛ばす(無論、一定程度の債権者が更生計画に同意する要件のクリアが必要となりますが)ことが可能となりました。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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