01166_企業法務課題を整理・体系化すべき必要性>(1)企業法務課題を合理的に整理・体系化する必要性

「企業法務」
というビジネス課題については、取扱対象の広汎性、ロジックの専門性等から、取り組む以前の問題として、課題をどのように発見し、整理・分析すべきかすらわからず、五里霧中の状態で途方に暮れる企業も少なくありません。

従来、企業法務課題を体系的に捉えることができる整理・分析のためのモデルは存在しませんでした。

既存の法体系を前提とすると、
「総則・物権総論・物権各論・債権総論・債権各論・不当利得・事務管理・不法行為」
というパンデクテン体系に基づく民法が私法体系の根幹をなし、これらの特別法として商法、会社法といったものが存在します。

この上に、金融商品取引法、不正競争防止法、各種PL法、独占禁止法といった企業活動に関連する法体系が、法制定者あるいは法執行者(監督官庁)の都合で、アドホックに散在するだけです。

書店等に行けば法務関連図書を多く見受けますが、上記のとおり、民法、会社法、金融商品取引法といった各法体系に応じてドグマティックに整理されたものがほとんどで、法体系を横断し、ダイナミックに展開する現実のビジネス活動に適合した書籍はないに等しい状態です。

このような状況ですと、例えば、新しい製品を製造して販売するという事業を新たに構築する場合、原材料調達取引や製品販売取引に関しては民法・商法を参照し、新事業開始や工場建設の意思決定に関しては会社法を参照し、環境規制に関しては行政法・条例を、マーケティングに関しては景品表示法を、下請けとの関係構築は下請法を、その他企業間の関係(BtoB)規律については独占禁止法を、また、エンドユーザーたる消費者への製品販売(BtoC)については消費者契約法を、といった具合に
「法制定者の都合でビジネス活動とは無関係に、バラバラに存在する各法体系」
を個別に参照しなければならず、手間と時間が膨大にかかり、現実のビジネスの展開スピードに間に合わず、いわゆる
「漏れ」「抜け」
が出てくる危険性が顕著に存在します。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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