企業法務のニーズに応えるべく、著者は、
「企業内外において生じる法務課題を有機的かつ統一的に捉え、企業が抱える法務課題を効果的に分析するフレームワーク」
として、
「リーガル・プロセス・チェーン・フレームワーク分析(連鎖型企業法務プロセスモデルによる課題分析法/Tetsumaru Hatanaka’s Legal Process Chain Framework)」
構築し、本書の前身である
『企業法務バイブル2009』(弘文堂)
等において提唱しました。
このフレームワークは、
「企業における法務課題が、有機的に相互関連する企業活動の各プロセス毎に生じる」
との認識に立ち、
「同時多発的かつプロセス横断的に発生する法務課題を、理論的かつ効果的に把握する」
とする設計思想に基づき、構築されています。
企業の定常的活動は、一般に、
1 法人として組成して、統治体系を行え、組織体として運営していき、
2 ガバナンスが整った企業は、次に、
(1)ヒト(労働力)
(2)モノ(原材料・製品・商品・設備)
(3)カネ(投資・融資)
(4)チエ(情報、技術、ブランド)
といった各経営資源を調達・活用し、これにより企業内に商品・サービスといった付加価値を在庫等として蓄積します。そして、
3 このように企業内に蓄積された付加価値(商品在庫あるいは未実現収益)を、
(1)コーポレートセールス(法人向営業ホールセール、BtoBセールス
(2)コンシューマーセールス(消費者向営業、小売、BtoCセールス)
といった各営業活動を通じて収益として実現する、
4 営業活動の成果として企業内付加価値(商品在庫あるいは未実現収益)から売掛金債権として転化した債権は、債権管理・回収活動によって、さらに現金へと転化していく、
5 以上の企業の各取引を会計の側面から認識・記録し、さらに一定の会計期間で区切って決算・報告・納税を行う、
という形で整理されます。
また、企業は、以上の定常的活動のほか、異常・特異な状況や事態に直面することがあります。
これについては、
6 企業が破綻状態に陥り、解体・清算したり、あるいは法的手続その他を経て、再生する状況、
7 企業が「ヒト・モノ・カネ・チエの有機的総体である企業そのもの」を取引の対象とするM&Aを行う場合、
8 企業が反社会的勢力からの攻撃を受ける場合、
9 企業がサイバー空間において匿名の第三者から誹謗中傷といった攻撃を受けて企業価値を毀損させられる場合、
10 企業が欧米圏に進出し、あるいは欧米圏の企業等と取引を行う場合、
11 企業が非欧米圏に進出し、あるいは非欧米圏の企業等と取引を行う場合、
という形で整理されます。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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