株主総会の運営に関してですが、前世紀に主流であった
「特殊株主・総会屋が暗躍し、会社の説明義務の不備を突かれる」
等といった、修羅場あり、山場ありの総会対策はすでに過去のものとなりつつあります。
現在では、自らが投資する会社の方向性に興味・関心を有する一般投資家や、経営者の経営責任を追及すべく財務諸表を読み込み、徹底した理論武装をしたプロの投資会社や買収者といったプレーヤーが、株主総会対策上のメインターゲットとなっています。
その意味では、総会対策を準備する上では、役員の退職金や役員個人の動向や些細な不祥事追及を想定した運営準備だけでなく、余剰資産の活用、特定取引の経済合理性、各事業の採算性・妥当性、買収防衛策の内容と是非等、MBOや上場廃止発表後の総会における買取価格の妥当性等、経営合理性に関する相当つっこんだ質問がなされることまで想定すべきであり、これら質問に対する適正な説明を準備しておくべきです。
その際の説明のポイントですが、投資家の質問の方向性を集約・整理すると、その大半は
「会社はシェアホルダーズ(株主)の短期的利益追求の要請に応えるべきだ」
という趣旨のものです。
説明の際、企業経営陣がこの土俵に乗ってしまうと、ほぼ間違いなく論破されることになります。
したがって、上記のような指向性を有する質問に対する説明としては、別の理念・哲学を基礎にした説明をすることで対応が可能となります。
具体的には、
「会社はシェアホルダーズ(株主)の短期的利益追求の要請のみに応えるものではない。
すなわち、会社は、株主を含む多数のステークホルダーズ(利害関係者)のために存在するものであり、短期的利益追求もさることながら、ゴーイングコンサーン(継続的存続)を最大の存続目的とする。
したがって、短期的利益追求のみを指向した貴ご質問は、前提において当社の目指すべき方向性と異なるものと考えます」
等といった説明です。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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