01255_ファイナンス法務>経営資源「カネ」の調達・活用に関する法務>特殊な課題・新たな課題>DIPファイナンス

ファイナンス関連法務における個別テーマとして、DIPファイナンスとは、米国で普及しているファイナンス手法で、本来連邦倒産法上の倒産処理手続が開始された企業(「法的再建手続を申立てた後も、引き続き現経営陣が当該企業の経営にあたる」という意味で、DIP〔Debtor ln Possession〕と呼ばれます)に対する融資のことをいいます。

日本においては、民事再生開始手続を開始した企業に対する融資や再生債務者(企業)からM&A等により事業承継する企業に対する融資を広くDIPファイナンスと呼んでいます。

金融機関が貸し手となったDIPファイナンス案件でいくつか成功した例もありますが、もともと破綻している企業に貸し付けるという点で、極めてリスキーなファイナンス手法であるため、弁済の確実性の検証に加え、モラルハザード防止のための仕組みや、返済計画の履行や信用状況の厳密なモニタリングが必要であり、高度な信用管理技術を有する金融機関であるからこそ実施できる手法といえます。

民事再生申立直前に、スポンサーを打診された事業会社が、限られた時間の中で、デューディリジェンスも満足にできず、乏しい情報の中、DIPファイナンスの提供を含む支援表明を求められるケースもありますが、こういうケースでは二次破綻リスクを被る可能性が非常に高いといえます。

いずれにせよ、事業会社がDIPファイナンスを含む支援表明(支援契約)を行う際には、DIPファイナンスの危険性をよく理解した上で、豊富な情報と緻密な検討の上、慎重な判断をなすべきことが推奨されます。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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