知的財産法について全く知らない方のための入門書としては、
『産業財産権標準テキスト』(特許庁・工業所有権情報研修館著・発明推進協会)
が挙げられます。
このシリーズには
「総合編」
「特許編」
「商標編」
「意匠編」
の各書籍があり、特に
「総合編」
は、法学部出身者以外の法務スタッフには最適です。
特許法の基本的構造や仕組みを知るための基本書・体系書としては、
『特許法(第2版)』(中山信弘著・弘文堂)
や
『標準 特許法(第4版)』(高林龍著・有斐閣)
が挙げられます。
特許権・実用新案権の設定登録までの構造・体系理解については、具体的運用例も豊富に記載してある
「特許・実用新案審査基準」が参考になります。
意匠法に関しては、意匠権設定登録までに関しては
「意匠審査基準」
が最も使えるツールであると思います。
なお、意匠権設定登録された後、侵害事案が発生した場合に関しては、
『知的財産権侵害要論 特許・意匠・商標編』(竹田稔著・発明協会)
の意匠の部分に詳細な記載があります。
商標に関しては、登録までに関する体系や運用理解については、
「商標審査基準」
が非常に使えるかと思われます。
体系書としては、
『商標』(網野誠著・有斐閣)
が参考になります。
条約関係に関しては、
『特許関係条約』(橋本良朗著・発明協会)
がスタンダードな書として推奨されます。
知的財産部等の専門法務組織を擁し、知的財産権の取得を企業活動の重要な戦略として位置づけている企業においては、自前のコンメンタールを持つ意味があると思いますが、知的財産の登録、活用や侵害対応に関しては、弁護士や弁理士等の専門家に委ねている一般企業においては、コンメンタールまで保有する意味は乏しいと考えます。
逆に、コンメンタールを参照しなければならない高度で複雑な事案を専門家の助力を借りずに検討・解決するという方がリスキーだといえます。
なお、
『工業所有権法逐条解説』(特許庁編・発明協会)
は、特許庁の担当者が公的な解釈を加えたもので、行政解釈を知る上で参考になりますので、保有しておいても差し支えないものと考えます。
また、インターネットで特許・実用新案・意匠・商標の各公報情報や出願・登録・審判に関する審査経過情報の照会・検索ができるものとして、特許電子図書館があります(注:2015年3月23日にサービス終了しました)。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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