01315_消費者法実務>消費者向営業活動に関する個別法務課題>消費者法実務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ

1 一般法の大幅な修正

民法では、意思表示の取消しをすることができるのは、詐欺や強迫の場合など、非常に限られています。

ところが、消費者契約法においては、
「断定的判断」(「これを買えば10万円儲かります」との告知も、これにあたるとされています)
が事業者から提供された場合、
「不利益事実の不告知」(別荘の景観の良さを宣伝しつつ、景観が開発によって破壊される予定があることを告知しない等が、これにあたるとされています)があった場合、
「事業者側が、消費者の退去要請に従わなかった結果、消費者が困惑すること」
などの場合には、消費者は契約の申込み又はその承諾を取り消すことができます。

このように、従来は
「やや強引」、「ややお行儀が悪い」
が、必要悪レベルの勧誘として社内的に許していた行為については、消費者から契約を取り消されるリスクがあることになります。

2 消費者団体訴訟制度

企業と消費者との間の紛争は、一般的に、各消費者の蒙る被害額が少額であるため、各消費者が訴訟の提起に消極的とならざるをえず、企業の違法行為について法廷の場で是正される機会が少ないという状況でした。

そこで、消費者契約法(12条以下)だけでなく、特定商取引法(58条の4以下)、景品表示法(10条)が、消費者団体訴訟制度を認めています。

消費者団体訴訟制度とは、内閣総理大臣の認定した一定の団体(適格消費者団体)に消費者全体の利益を守るための差止請求権を付与し、企業の消費者の利益を害する活動に対して、同種かつ多数の消費者の被害の拡大を防ごうとする制度です。

すなわち、企業が消費者を害する営業活動をしても、個々の消費者が個別に事案解決を図ろうにも情報力・交渉力に圧倒的な差があるため、現実的には泣き寝入りするケースがほとんどです。

他方、消費者団体が企業に直接働きかけをしようとしても、消費者団体は当該事件の当事者ではないので、活動に法的限界が生じます(企業としては事件の当事者ではない消費者団体の申入れに取り合う法的義務はありません)。

そこで、消費者の利益を代弁することが客観的に期待でき、組織的にも堅実な基盤を有すると認められる適格消費者団体に、消費者に代わって、不当な活動を行う企業に対して、直接、当該活動を差し止める権限を付与したのがこの制度です。

現在、適格消費者団体は、以下の9団体が認定されています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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