取引先の信用判断のため、財務諸表の分析は欠かせませんが、最近では、次の3つの観点を基本に、それぞれの項目ごとに検討することも重要視されています。
1 安全性の観点
(1)流動比率
短期支払能力を判断するための指標です。
具体的には、 1年以内に支払期限が到来する流動負債を返済するための原資として、流動資産をどの程度確保しているか、を計測します。
(2)当座比率
同じく短期支払能力を判断するための指標です。
流動負債を返済するための原資として、特に、現金預金や売上債権等の現金性の高い資産をどの程度確保しているか、を計測します。
(3)流動負債比率
1年以内に支払期限が到来する流動負債と、自己資本の関係を表す指標です。
一般に、
「自己資本流動負債比率が80%を超えている場合は、資金繰りの健全性が乏しい」
などといわれます。
(4)負債比率
資本における負債と自己資本の関係を表す指標です。
「負債比率の数値が低いほど、資本が厚く、企業の安全性が高い」
といわれます。
2 収益性の観点
(1)売上高純利益率
税引後の当期利益と配当原資を表す指標です。
この数値が高いほど収益性が高いということができます。
(2)総資産利益率(ROA、Return On Asset)
企業が保有する資産をいかに有効利用して利益を確保したかに関する指標です。
総資本に占める利益の割合を指しますが、この数値が高いほど収益性が良く、健全である、ということになります。
(3)株主資本利益率(ROE、Return On Equity)
株主が出資した資本をいかに有効利用して利益を確保したかに関する指標です。
この数値が高いほど健全性、収益性が良い、ということになります。
3 効率性の観点
(1)使用総資本回転率
別名、総資産回転率と呼ばれるものです。
この数値が高いほど、資産から利益を生み出す効率性が高いことになります。
(2)売掛金回収期間
売掛金の回収効率を判断する指標で、日本では売掛金回転率とも呼ばれます。
買掛金売上高比率と比較することで、キャッシュフローの状態を把握することができる、とされます。
(3)買掛金売上高比率
売上高に占める買掛金の割合を表す指標で、買掛金回転率とも呼ばれます。
この数値が低ければ低いほど、健全性が高く支払サイクルも早い、といえます。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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