01329_債権管理・回収法務>債権管理・回収法務(フェーズ4)>有事対応フェーズ>自力救済の危険性

信用不安が生じた債務者のところに出向き、有無を言わせずに在庫を持ち出して債権回収を実行するというケースがありますが、法は自力救済を禁じており、このような行為も、債務者の明確な同意なしに行うと、不法行為に基づく損害賠償(民法709条)を受けることになります。

さらには、住居侵入罪(刑法130条)・窃盗罪(235)・恐喝罪(249条)・強盗罪(236条)にも問われることになりかねません。

ちなみに、このように強引な回収によって債務者が債権者に対して取得する不法行為に基づく損害賠償請求権については、債権者の有する債権をもっては相殺できません(民法509条)ので、支払をしない債務者にさらに追い銭を支払う、という不幸な状況に陥る結果すら発生しかねません。

いずれにせよ、強引な在庫商品や動産の持ち出しは百害あって一利なしなので、十分な注意が必要です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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