01377_M&A法務>M&A法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説>M&Aの意義

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、本来、
「企業の合併・買収」
を指しますが、一般に用いられるM&Aは、
「企業の合併・買収」
に限らず、業務提携等のゆるやかな企業結合等も含めた意味として用いられます。

1990年代以降、日本でもM&Aという言葉がメデイアを賑わせ、その後も、世界的な金融危機の影響を受けつつも企業法務における中核的地位を占め続けています。

このようにM&Aが企業活動において重要性を増した理由の一因にグローバル化を挙げることができます。

冷戦が終了し世界市場が単一化したことで、供給過剰が生じ、経済が構造的なデフレーション状態に移行するとともに、ヒト・モノ・カネ・情報が瞬時に流通する状況の中で、企業間競争が激しくなり、大競争(メガ・コンペティション)の時代を迎えました。

その結果、コスト競争力等において劣後する企業は市場からの退場を余儀なくされ、一方で、競争を維持できる企業はスケールメリットを生かした生き残りを模索し、その具体的戦略としてM&Aを活用した水平的統合を始めたのです。

このような水平的統合によるM&Aは、研究開発費や製造コストの高い業界(電気、化学、製薬業界等)において、現在でも多く見受けられます。

この他にも、自社の中核ビジネスの川上から川下まで(研究開発から素材の調達、大量生産を経て最終消費者に届けるまで)を押さえることで、流通に関するコストや原材料のコスト等を自社でコントロールする垂直統合を指向する企業もあり、このような戦略を実現する手法として
M&Aが用いられるケースがあります。

大手の小売業が、
「川上」
であるメーカーや問屋をM&Aにより傘下に収め、製造・流通・販売を総合的に管理する事業を行うのはこのような戦略の具体的現れといえます。

このような水平・垂直型統合を目指してのM&Aは、
「関連事業」の買収、
すなわち
「土地勘のある戦場での戦略展開」
であるため、
「あの会社が手に入れば、この部分の合理化ができ、しかもあの販売網を用いることができる」等
といった検討やシミュレーションを具体的にできますので、M&Aによる効果(事業シナジー効果、統合による相乗効果)を見込みやすいものといえます。

他方、この種のM&Aは、
「新たな事業に手を出す場合に一から事業を構築することは多大な時間・コストを要するため、当該事業をすでに展開している企業をてっとり早く買収してしまう」
形で、事業の多角化や新規参入の戦略実現手段として実施されることもあります。

とはいえ、シナジー効果の算定が困難であることや、大競争(メガコンペティション)時代を乗り越えるために選択と集中こそが企業の主な課題となっていること、さらには、コングロマリットディスカウント理論(複数の事業を展開する複合企業体<あるいは多角経営企業>は、複合企業化<多角経営化>していることによって、逆シナジーが働き、個々の事業を別個に営むよりも事業価値の総和が低下していると市場に評価される、とする理論)実証されてきたこと等から、よほど明確な経営戦略に基づくものを除き、最近ではあまりみられません。

最後に、事業シナジーとは逆の方向、すなわち、事業を解体したり、事業価値を損ねるようなM&Aというのも存在します。

これは、グリーンメーラーあるいは日本では
「濫用的買収者」
といわれる者によるM&Aです。

すなわち、上場企業においては、建前上、株式を誰でも買えるため、
「金さえあればどんな企業でも乗っ取れる」
ということが制度上予定されています。

そこで、
「経営に興味がなく、単に企業経営陣にゆさぶりをかけて高値で売り抜けたり、買い戻させたりする」
ことを目的として、第三者から融資を受け(まともな金融機関はこのようなリスクの高い金融を行わないので、当然に高金利なローンとなる)、これを元手に株を買い占め(あるいはTОBを行い)て、現経営陣に、様々な要求を突き付けるという形で攻防が展開します。

いずれにせよ、現代の企業戦略においては、M&Aという法技術は非常に広く用いられており、企業法務において重要な課題と位置づけられるようになっています。

運営管理コード:CLBP536TO538

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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