01379_M&A法務>M&A法務(フェーズ0)>課題概要と全体構造>概説>M&Aの分類>株式譲渡

会社は株主によって所有されているとよくいわれますが、この意味は、
「株主総会において会社の基本的事項が決せられる」
ということからきています。

そうすると、
「会社の経営権が誰に帰属するか」
は、
「株主総会において議決権を行使できる者はだれか」
という点に帰着します。

そこで、
「株式を譲渡することを通じて、会社支配権の最も根幹となるべき議決権をM&Aの買手に移転させ、ある会社の経営権を他の会社に譲り渡す」
という取引を、M&Aの形態の1つとして整理することができます。

株式譲渡という単純な法的構成によりM&Aを実現することの特色は、単なる株式の売買契約であるため、M&Aの当事会社の法人格や資産、雇用形態等になんら変更はなく、また、新たに株主(対象企業の親会社)となった買手企業は、株主として有限責任のメリットを享受でき、対象会社の債務について一切責任を負わなくてよい、という点です。

中小企業におけるM&Aでよくみられる形態ですが、買収者は基本的に対価を現金で交付しますし、買収対象企業の資産査定に慎重を要する点等は他のM&Aと基本的に変わりはありません。

なお、対象企業の取引先や設備賃貸契約等の主要契約に、チェンジ・オブ・コントロール条項(あるいはチェンジインコトロール条項。会社の主要株主が交替すれば、契約をキャンセルするオプションが取引先に付与される、という条項)がある場合、株式譲渡によるM&Aの前後において、当該取引先との間で当該条項をどのように取り扱うか、という問題を処理する必要が出てきます。

運営管理コード:CLBP539TO539

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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