準拠法として外国法を用いる場合においては、日本法の感覚で解釈したりあるいは運用を想像して判断するのは危険であり、当該法のきちんとしたスタディーが必要となります。
例えば、米国の統一商事法典(UCC)の§2-312以下は、売主に対して、一定の保証義務を課しているところですが、この義務を契約によって排除する場合には、排除する旨を
「明瞭」(conspicuous)
に記載しなければ排除することができません(UCCは、連邦法ではなく、各州に対して採択が薦められているモデル規範にすぎませんが、事実上、ほぼ全ての州において、州法として採用されています)。
そして、この
「明瞭に」
という規定の実務運用としては、当該文言を大文字で記載することが一般的に行われています。
このように、契約書に合意内容が記載してあっても、記載の方法に関する要件を充足していないと、予定していた効果が発生しないことがあります。
したがって、自国の法律以外が準拠法となる場合には、思い込みや自国の慣習に依拠せず、適切な調査が要求されます。
(なお、日本法においても同様の“ローカルルール”のようなものは存在します。例えば特定商取引法などにおいては、消費者保護の観点より、一定の契約文言については、
「赤字で8ポイント以上の文字」
で記載しなければ、違法と判断され、業務停止命令等の行政処分が課されることがあります。)
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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