2007年1月24日、欧州委員会は、ガス絶縁開閉装置(GIS。変電所等において用いる機器)の販売業者が入札談合等のカルテル行為を行ったとして、日本企業5社を含む計10社に対して、総額7億5,071万2,500ユーロ(当時のユーロのレート155円/ユーロを適用すると、日本円で約1,163億円)の制裁金を命じました。
日本企業は、EU市場におけるGISの販売はほとんど実施していませんでしたが、
「『EU内の企業を相手として、相互の市場でGISを販売しないというカルテル協定』を結んでいたことが、EU市場における競争を制限したものである」
とされ、違反認定されました。
これは米国においても同様であり、米国の独占禁止法運用上、
「海外の企業の行為であっても、自国内の競争に影響を及ぼす場合には、米国独占禁止法を適用する」
という立場が採られます。
このように、海外競業他社との合意等を行うことは、日本の独占禁止法のみならず、海外の当局から海外の独占禁止法に抵触すると認定されうる可能性があり、十分な注意が必要です。
なお、EUの独占禁止法運用上、親会社及びそのグループは、単一かつ同一の経済主体とみなされ、子会社が行ったカルテル行為について、親会社が責任を負担させられることもあります。
したがって、海外進出先の現地法人が、進出先の独占禁止法に違反することがないように、十分な内部統制を行う必要があります。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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