1 中国を中心とするアジア圏を対象法域とする国際法務実践上の課題と対応の基本
近年、中国における経済環境、法令環境は目まぐるしく変化しています。
そして、日本企業が、中国企業と提携したり、中国市場に直接乗り込み製品やサービスを提供したり、その他中国企業への投資を行ったり、といった活発な国際取引を開始しています。
このような中国に関係する国際取引を実施する場合には、中国契約法をはじめ、知的財産法、競争法、通商法、製造物責任法など複雑化・多様化する各種法令の精査、理解に加え、中国政府との関係構築などの非法律的対応も必要となります。
また、中国は
「法の支配ではなく、人の支配がいまだ色濃く残る法環境である」
といわれますので、中国に現地法人を設立したり、合弁・合作会社を設立する日本企業は、
「中国のファジーな法環境において、どのようにして、法的合理性に基づく緻密な内部統制を構築するか」
という課題にも直面します。
さらに、中国でのビジネスでは、中央政府や地方政府の役人達とのリレーションが欠かせません。
これは、決して、不正競争防止法において禁止される外国公務員贈賄行為を意味するものではありません。
日本企業が持ち込む事業が成功すれば、その地方に与える経済効果は大きく、担当者にとっては、中央の人事当局における成績評価を改善する絶好のチャンスとなります。
したがって、事業の意義や成功した場合における地域経済や労働市場に与える影響等をしっかり説明すれば、地方の行政当局の積極的な協力を得ることも不可能ではありません。
このように、
「属人的に物事が進む法文化」
を持つ中国の実態を見極めることで柔軟に対応しながら、日本及び現地の法令を確実に遵守していく、というところが、中国に進出する際の国際法務実践上の要諦となります。
2 イスラム圏を対象法域とする国際法務実践上の課題と対応の基本
他方、中東等のイスラム諸国では、イスラム教という信条、理念に基づいて制定されたイスラム法の理解、また、イスラム圏特有のイスラム金融やスクークと呼ばれるイスラム債券の理解が必要不可欠となります。
中東特有の政治リスク(政情不安、政府による強権発動等)にも対応しなければなりません。
3 その他の地域を対象法域とする国際法務実践上の課題と対応の基本
その他の地域の国際法務を実践していく上では、旧宗主国であった欧米諸国の法環境を想定し、これがその後の歴史的・政治的経緯によりどのように変容してきたか、という点を折り込みつつ、的確に現地の法体系や法文化の特徴をつかみながら、法務対応していくことになります。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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