中国における法体系としては、まず、日本の国会にあたる全国人民代表大会が制定する
「法律」
があり、
「法律」
の下位規範として、
「行政性法規」
と呼ばれる国務院(中央政府の機関の1つ)が施行する法令が存在します。
「行政性法規」
は法律よりも圧倒的に多くかつ詳細にわたっており、具体的で私人に直接作用する規範として機能しています。
次に、国務院に所属する委員会や部が、それぞれ公布する法令が
「部門規則」
と呼ばれており、これらも法規範としての性格を有します。
2001年のWTO加盟により、輸出入の規制緩和、知的財産制度の改革、市場参入における自由化等がスピーディーに進められました。
その結果、中国における法律の制定。改正は目まぐるしく行われ、急速に整備が進んでいます。

著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
ガバナンス法務に直接関係する会社法(「公司法」)ですが、2005年10月、2006年1月の大改正を経て現代的な法体系を確立するに至っています。

著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
製品市場に関する規律のトピックとしては、2009年に制定された不法行為法において製造物責任に関する特例が設けられ、
「製品に欠陥が存在することを明らかに知りながら製造・販売を続け、死亡又は健康に対する重大な損害をもたらした場合」
には、
「相応の懲罰的賠償」
の支払いをしなければならない(不法行為法第5章47条等)と規定されました。
2010年7月からすでに施行されていますので、今後、中国国内で製品の製造、販売を行う場合には、このような懲罰的賠償リスクに対する注意と警戒が必要になります。
中国進出にあたり、M&Aにより中国企業を買収し、大幅な時間短縮を図る企業も多いかと思われるので、M&Aの法令環境を概説しておきます。
中国企業とのM&A一般に関しては、以下のとおり、多数の法規が同時に関係することになるなど、複雑な規制課題が発生することになります。
また、外国企業が、買収等の方法で中国企業の経営権を支配する場合には、競争的観点及び国家安全保障による観点からの規制が働きます。
すなわち、外資による中国企業買収の際
1 国における戦略上の重要産業である場合
2 国家経済の安定性に影響を与える場合
3 対象会社が中国における著名商標や伝統的標章を保有する等の場合
には、中国政府当局に対して当該取引の報告が義務づけられます。

著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
報告を憚怠した場合、中国政府によって、当該買収等を
「国家安全に対する害悪」
と判断し、該当取引を中止させられたり、関係資産を強制的に譲渡させられたりといった強権的なペナルティを受ける可能性があります。
運営管理コード:CLBP667TO669
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所