中国においては、国民性、商慣習、企業体質等の面から、債権回収事故が生じやすく、予防法務上適切な対応が必要となります。
1 三角債(の抗弁)
中国において債権回収を行う過程で
「三角債(の抗弁)」
と呼ばれる理由をもって支払いを拒まれることがあります。
「三角債(の抗弁)」
とは、第三債務者、すなわち債務者が売掛債権を有する取引相手が債務を支払わないことを理由に、自己の債務の支払いを停止することです。
無論、法的根拠はないのですが、中国の商慣行では
「商流の下流の相手が払わない以上、こちらが払わないのは当然である」
という強固な考え方があるため、全く悪びれることなくこのような抗弁を持ち出されます。
債権管理・回収上、非常に大きな障害となるので、このような事象をふまえて、信用管理を行うべき必要があります。
2 不当な支払遅延
また、中国においては、経理の仕事が
「キャッシュフローを改善し、手元資金を厚くすることであり、そのためにあらゆる手段を講じること」
と理解されている節があります。
このため、債務者である中国企業の経理担当者が主体となって故意に支払を不当に遅らせる、といった事態が頻発します。
すなわち、納品が終わり支払期限が到来している債務が支払われなかったため、債権者の営業担当者が債務者の経理担当者へ連絡をすると、
「上司から請求書が下りてきていない」
「支払の責任者が出張中でわからない」
「既に支払っている」
「商品を返品したい」
等といった弁解が延々と行われ、支払いを不当に渋る、といつた事態に遭遇します。
3 推奨される信用管理
以上のような、中国での債権回収事故に対する予防対策として、以下のような方法が考えられます。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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