「コンプライアンス」
という言葉があります。
21世紀に入って降って湧いたように登場し、その後、事あるたびに使われるようになってきた経営上のキーワードです。
「コンプライアンス」
とは日本語に訳すと
「法令遵守」
という意味になります。
法律を守るのはある意味当たり前といえば当たり前です。
「何故、法令遵守を経営課題としてわざわざ認識しなければならないのか」、
「それほど日本の企業は法令を遵守していない不届きなところが多いのか」、
不思議といえば不思議です。
まず、
「日本の企業は法令を遵守していない不届きなところが多いのか」
という点については
「YES」
といわざるを得ません。
労働白書で、労働基準監督官による事業所調査を行った際の結果が統計データとして公表されています。
それによりますと、国内の事業所において、労働関連法規(労働基準法や労働安全衛生法など)の違反摘発率はだいたい6割後半から7割、業種によっては78%もの割合で労働関連法規違反が発見され、指摘されている、とのことです。
日本においては、どの会社も労働関連法規を平然と無視して操業している、ということのようです。
また、金融業界では金融検査なるものが定期的に行われていますが、
「検査をしても違反が一切なかった」
という金融機関はほぼ皆無であり、多かれ少なかれ違反を指摘されているのが実態です。
金融機関というと、いかにも
「法律はきちんと守っています」
なんて涼しい顔で営業しています。
ですが、結構著名な金融機関がかなり悪質な違反行為を行っている、なんてことは日常茶飯事のようで、これが金融検査でバレて、しばしば結構な長期間の業務停止を食らっていたりしています。
とはいえ、
「こういうことがあまり大々的になると、金融全体の信頼に響き、経済活動に影響を及ぼしかねない」
との配慮からか、新聞やテレビでも、この種の違反や業務停止といった事件は大きく取り上げられず、新聞の隅で地味に報道される程度です。
比較的管理がしっかりしている金融業界がこの状況ですので、その他の業界における業法その他各種法令の遵守状況もだいたい想像がつきます。
以上のとおり、日本の産業界においては、法律を全てきちんと守って健全に経営を行ってきたというよりも、
「見えないところで適当に法令を無視しながら、バレたらバレたでなるべく事が大きくならないようにしながら、日々発展している」
という一面があるのです。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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