01663_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(6)_対外的なコミュニケーション(言語・文書)と内部のコミュニケーション(言語・文書)

現代の紛争や闘争は、すべて文書と書面の証拠によって展開される
「筆談戦」
「文書作成競争」
という様相を呈しています。

この点で、法務担当者が担うべき対処課題、すなわち、法務安全保障や事件対応や有事(存立危機事態)対処等は、すべて、文書と証拠によって展開されることになります。

企業の法務安全保障等において関連するコミュニケーションの区別は様々ありますが、1つの区分として、
「社内で完結する内部のコミュニケーション(言語・文書)」
と、
「社外の関係者とやりとりされる対外的コミュニケーション(言語・文書)」
とに分けられます。

前者を顧問弁護士等社外の法律専門家がタッチすることはほとんどなく、法務担当者の権限と責任で処理すべきものです。

しかし、取締役会議事録や、その他社内の意思決定や情報共有のメールや文書等
「社内で完結する内部のコミュニケーション(言語・文書)」
が事件等で極めて重要な証拠となることもあります。

その意味では、
「社内で完結する内部のコミュニケーション(言語・文書)」
を専権として担う法務担当者も、法的なストレステストや、悪意を以た観察者が検証しても企業を窮地に陥れることのないような不用意な表現の排除や適切な状況叙述等、法的な観点でのセンスと配慮が求められます。

社外の関係者とやりとりされる対外的コミュニケーション(言語・文書)についても、もちろん、平時においては、法務担当者、さらには、法務担当者以外の社内担当者(広報担当者やIR担当者等)が担うこともあるかと思います。

しかしながら、事件や事故、さらには有事(存立危機事態)の場合や、これに至る可能性のあるプロジェクトや、規模や新規性から考えて一定の重要性あるプロジェクトについては、すべて法務担当者が、保守的な観点からの法的ストレステストやバイアスチェック(悪意を以た観察者が検証しても企業を窮地に陥れることのないような不用意な表現の排除や適切な状況叙述等、法的な観点でのセンスと配慮に基づくレビューとリバイズ)を行ったり、さらには、必要に応じて、顧問弁護士等外部の専門家を動員すべき場合も出てきます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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