01736_企業が行うべき最新ネット風評対策_(6)ネットメディアによる企業攻撃が行われた場合における、企業法務安全保障の先端知見を活用した効果的対策(ⅱ):言論には言論で対抗すべし~但し、「泥試合」ではなく、「品位の次元を超越したエレガントな対抗言論」で~

2 言論には言論で対抗すべし~但し、「泥試合」ではなく、「品位の次元を超越したエレガントな対抗言論」で~

ネット上に、自社の悪評を発見した場合に、犯人探しをしたり(匿名の書き込み者の特定)、その者や掲示板管理者に対して削除を求めたり、損害賠償を求めたりするのは、時間的にもコスト的にも労力的にも無駄であり、かつ、
「表現の自由」
を徹底して保障する傾向にある裁判所から冷淡な対応をされ、敗訴の憂き目に遭う可能性すらあります。

加えて、
「削除を求める」
という企業自身の行動が、さらにネットにさらされ、好奇の目にさらされ、炎上が加速化し、より、収拾不能な事態に陥る危険も否めません。

憲法が表現の自由を徹底して保障するのは、
「思想の自由市場論」
という論理的前提があります。

すなわち、
「各人が自己の意見を自由に表明し、競争することによって真理に到達することができるのであり、誤った意見や表現は、市場が低劣な評価をすることによって、淘汰されるので、放置しておいて問題ないし、規制すると却って、萎縮的効果によって、社会が真理に到達できなくなる」
という哲学です。

すなわち、
「間違ったこと言われたら、お上に泣きついて規制を求めないで、自身で、堂々と反論して、市場から駆逐せよ」
というのが、言論活動のあるべき姿である、というのが憲法の求めているあるべき姿・あるべき対処法です。

したがって、ネットで不当なこと、間違ったことが書き込まれたのであれば、
「それはこれこれ、こういう根拠と理由で間違いであり、根も葉もないデマである」
と反論(対抗言論)によって糺すことがもっとも推奨される方法である、といえます。

ここで、重要なのは、
「相手と同じ土俵に立たず、品位の次元において、発言者と隔絶した高みから反論する」
ということです。

一般論としてですが、ケンカの必勝法は、
「素手で殴られたらナイフで応戦、ナイフで斬りかかれたら銃で応戦、銃には戦車で応戦、地上戦を挑まれたら空中戦で、空中戦を挑まれたら宇宙戦で」
というものであり、
「同じ土俵に立たず、高位の次元から、圧倒的なパワーで封殺する」
ということが肝要です。

匿名掲示板の書き込みはいわば、
「便所の匿名の落書き」
のようなもので、
「闇に隠れて姑息なテロ戦を挑んできた」
ような趣のものです。

これを封殺するに最も効果的なのは、
「空爆という効果的な方法で瞬時に圧倒して、制圧する」こと、
すなわち、
「企業の公式ウェッブサイトにおいて、きちんとした根拠とデータを示し、格調と品位を整えた、フォーマルな形式の文書で、一見して書き込みがガセであることがわかるように、世間にアピールすること」
です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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