わが国においては、三権分立という制度運営上、2種類の法執行権力が存在します。
「行政権力」
と
「司法権力」
です。
2つの権力空間は近似していますが、 これらには明確な差異があります。
そして、弁護士は、おもに、
「司法権力が支配する空間におけるプロのプレーヤー」
すなわち
「裁判所という国家権力機関が支配する、司法権力空間の構造、秩序、論理、ルールを勉強し、司法権力の転がし方」
についての知見をもったプロフェッショナルです。
他方で、
「行政権力が支配する空間」
は、裁判所や弁護士が立ち入れない世界となっています。
行政個別法(約1800あるといわれています)及び各行政機関が定める政令(施行令)や総理府令・省令(施行規則)を含めた膨大なルールの数もさることながら、行政権力空間の 構造・秩序・論理・ルールは、司法権力空間とは異なるものとなっています。
また、取締法規については、一次的解釈権が行政機関に留保されており(公定力)、弁護士であれ部外者の解釈論(たとえそれが裁判例を援用したものであっても)を提示しても、無視や不利益処分をされても文句が言えない扱いが正当化されています。
このようなことから、
「取締法規対処事案(当局対私人のタテの権利義務関係の法律問題の発見と課題処理)」
が発生した場合は、依頼する側は、
「より専門的な内容になると、調べるのに大変手間がかかります」
と弁護士がいうことを頭に入れておかなければなりません。
もちろん、時間・予算を整えることは大前提です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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