「権力とは戦うもの」
というお題目を唱え、事あるごとに、権力空間や権力者に反目し、批判し、敵視するようなメンタリティをもつことは、民事裁判の仕事をする以前の段階で、不適格です。
権力と戦っても、勝てるわけがありません。
特に、司法権力については、日本最高・最強の権力機関です。
「カラスは白い」
「白鳥は黒い」
というような事実認定すら可能な権力をもっていますし、法解釈権を独占しています。
行政権力すら、司法権力には歯が立ちません。
検察すらも、無罪判決という形で、ノックアウトさせられます。
そんな権力と戦うのは、明らかに愚かです。
権力とは戦いません。
権力の特性を理解し、動かすのです。
権力が自分にとって都合の悪い動き方をした場合は、権力に逆らわないことを所与とし、権力を怒らせない程度に邪魔し、混乱させ、妨害し、足を引っ張り、困惑させ、ほとほと嫌にさせ、資源動員が成果に見合わぬことを自覚させ、ついには諦めさせる方向で、あの手、この手、奥の手、禁じ手、寝技、小技、反則技を駆使していくのです。
そのために、権力空間の構造、秩序、メカニズム、オペレーションロジックやルールを知り、また、権力者のことを、彼ら・彼女たちの現実・欲求・価値のレベルで知り、感受性をシェアするのです。
これが、民事裁判という司法権力空間におけるプロフェッショナルの本質的な活動の要諦です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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