01880_紛議にいたるまでにすべきこと

紛議にいたる原因のひとつとして、相手方の事務知性・事務能力の欠如がある場合があります。

それは、相談者が発注し、相手方が受注した仕事内容の技術や完成レベル・完遂レベル等の能力とは別次元のスキルセットとして、の話です。

事務知性や事務能力というのは、
・想定外の事態を、平時として軽視・楽観視しない
・想定外(=すなわち自分の都合や常識では図りし得ない事態)の事態を、自分の都合や常識で判断しない
・想定外の事態に接したら、決定判断できる人間との、報連相を絶やさず、自己判断・自己実施をしない
というプロトコルを構築し、実践するリテラシーとスキルを指します。

「このくらいいいじゃないか」
「このくらい普通だよ」
「このくらいでガタガタ言うのはおかしい?」
と、相手が言うのであれば、それらはすべて、幼稚で自分勝手で甘えた言い方であり、紛争状況においては、すべからく不利に作用します。

また、これに加え、事態をさらに混乱させることがあります。

それは、相談者自身が、
「発注したのは自分だから」
「長年の付き合いだから」
などという理由で、相手方に同調し、(意識・無意識関係なく)相手方を庇おうとするるメンタリティがある場合です。

本来なら、相手方を加害者として認定し、その不備を責め、責任を追及するところです。

ところが、責任を追及するのに及び腰になってしまう、でも、モヤモヤはとまらないし、明らかに紛議になるほどオカシイ・・・、と悩みに悩んで、時間がたってから、弁護士に相談するのです。

「弁護士に相談するほど、の事態である」
と思うのであれば、まずは、相談者自身が、事態そのもの、そして、事態を招いた原因を冷静に認知、評価、解釈することが肝要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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