経済社会の現実として、多くのオーナー企業では、
「降格させる」
「管理職の任を解く」
ということを、イージーに、平気で行います。
これは相手(従業員)がリーガルマターとして抵抗せず、泣き寝入りするから成立している話であり、リーガルマター化すれば、まったく通用しない話になります。
学校でも、普通は
「進級」
するものであって、問題があっても、せいぜい
「留年」
であり、
「降年」
というのは、聞きません。
すなわち、従業員において、一度、
「管理職に相当する能力あり」
と認定されながら、
「途端に、退嬰化して能力後退して、ヒラ社員になった」
という事態は、経験則上あり得ない話です。
頭を打ったり、精神を病んだり、障害を負ったり等、特異な事情があれば、
「 一度、管理職に相当する能力あり、と認定されながら、途端に、退嬰化して能力後退して、ヒラ社員になった 」
ことはあり得ましょうが、普通に仕事をしていて、
「突然、能力がなくなった」
というのは、明らかに無理のある話です。
とすると、
「降格させたい」
というのは、相当納得性と説得性のある事情と根拠が必要であり、企業側の立証責任は厳しいものになります。
要するに、オーナー経営者が、ある社員を
「降格させたい」
のであれば、その経緯と理由を、
「リーガルマター」
としての観察と検証に耐え得るようなものかどうかを検証する必要がある、ということなのでり、弁護士に相談したからといって簡単に実現できるものではないのです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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