「開業プロフェッショナル(開業医、経営弁護士等)」 となって、事業が軌道に乗ったとしましょう。
人によっては、支店(分院)を増やし、人員を増やす経営戦略をとる方もいます。
そんなのあたりまえと、思うかもしれませんが、
「支店(分院)経営の事業主体(オーナーシップ)はどちらにあるか」
「誰が支店(分院)経営を仕切るか」
という点は、とても重要です。
一例を申し上げますと、 優秀なアルバイトドクターを招聘し、分院経営を任せる方がいます。
分院の経営について、アルバイトドクターが優秀だからと安心し、放任していると、いつの間にか主従が逆転し、年月を経て、分院がアルバイトドクターのものになる(乗っ取り)というような事態に陥りかねません。
本来、経営というものは(本院であろうが分院であろうが医院経営についても同様で)、
ヒト:人的資源動員(労務マネジメントやシフト管理)に関する指導序列や優劣関係性
モノ:物的資源動員(設備や各種医薬品や医療用品の調達運用管理)に関する指導序列や優劣関係性
カネ:資金調達運用管理に関する指導序列や優劣関係性
という3つにおいて、
「主体的に仕切っているのは誰か」
ということで整理できます。
そして、
「主体的に仕切っているのは誰か」
については、コミュニケーションに現れる関係において、見て取れます。
「コミュニケーションに現れる関係」
というものにも様々なものがあり、いくつかの分野に分析的に整理されます。
すなわち、一見すると、
「本院経営者=明らかに上位序列」
と概観されますが、議論やコミュニケーションのテーマをつぶさにみていくと、
1 人生の先輩・後輩といった人間一般の指導序列や優劣関係性
2 経営者としての先輩・後輩といった経営経験や経営実務知見の指導序列や優劣関係性
3 医院経営における指導序列や優劣関係性
(1)ヒト:人的資源動員(労務マネジメントやシフト管理)に関する指導序列や優劣関係性
(2)モノ:物的資源動員(設備や各種医薬品や医療用品の調達運用管理)に関する指導序列や優劣関係性
(3)カネ:資金調達運用管理に関する指導序列や優劣関係性
(4)チエその1(正常な医療活動を行う上での技術や知見):医療技術の向上改善に関する議論の指導序列や優劣関係性
(5)チエその2(医療過誤や医療事故対処を行う上での技術や知見):医療に失敗した場合の事態対処に関する議論の指導序列や優劣関係性
といった形で分類整理ができるのです。
たとえば、アルバイトドクターが本院経営者より年配であったり、姻戚関係や知古の関係であったりする場合、会話やメール・書簡などのやりとりにおいて、本院経営者とアルバイトドクターとの間に主従逆転の序列が形成されます。
要するに、本院経営者が、アルバイトドクターから医療について指導を仰いだり、人生の先輩として教訓を得たり、さらには、医療技術や事故対応について助言や指導を受ける立場にある場合、
「関係がフラットなものか」
「上下関係ないし指揮命令関係ないしボス・部下関係等の優劣を含む関係なのか」
という点において序列が形成されるのです。
この解釈を、このさきどのように展開予測するかは、人それぞれ違い、弁護士による助言もそれぞれカスタマイズされることになります。
経営に長けた個人開業医の傍には、必ずといっていいほど経営に長けた弁護士がいるのはこのような所以です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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