01950_契約書のチェックの工程その2

契約書チェックの具体例をあげますと。

ラフレビューの一例

1 基本骨子は○○契約でよくみられる合意形態

2 起案した弁護士は、○○の実務経験があり、企業法務スキルのある弁護士

3 ビジネスモデルをよく理解した上で、また、ストレステストを加えつつ、あり得べき合意条件や有事状況が想定されている

4 以上を前提に、○○的状況の記述、想像される○○的状況の記述ともに、観念上の事態や機序・作用を、ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化している

5 当方の義務(裏返せば相手方の権利)は、具体的かつ明確にかかれている(逃げ口上が許されないように明確かつ厳格に記述されている)

6 他方、相手方の義務(裏返せば当方の権利)は、(状況がいくつかの前提ないし条件に依存する、ということも作用しているが)やや不明瞭な記述がみられる

7 ストレステストをする上で、「当方が想定外の行動をした場合や、相手方にとって不利な想定外事態が生じた場合」は極めてよくスタディされているし、事態想定、事態対処メカニズムともに十分

8 他方で、(当たり前ですが)「相手方が想定外の行動をした場合や、当方にとって不利な想定外事態が生じた場合」は全くスタディされていないし、事態想定、事態対処メカニズムともに十分とは言えない

と、なります。

そのうえで、今後の修正に至るプロセスを組み立てますと、通常の工程を入れ替えることとなり、

1 大前提:ドラフトレビューの閲読と詳細確認

2 小前提1:ビジネスモデル、取引モデルの再検証・再確認(ドラフトのレビュー・スタディから推察したものに加え、インタビュー含む)

3 小前提2:不安事項、懸念事項等の確認
特に「相手方が想定外の行動をした場合や、当方にとって不利な想定外事態が生じた場合」のスタディ含む(ドラフトのレビュー・スタディから推察したものに加え、インタビューを含む)

4 小前提1と大前提との齟齬の確認:
・確認された「ビジネスモデル、取引モデル」が、合理的に、疑義の余地なく、契約書ドラフトにミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化されているか?
・疎漏や齟齬がある場合の不備箇所の抽出
・特に、相手方の義務(裏返せば当方の権利)は、(状況がいくつかの前提ないし条件に依存する、ということも作用しているが)やや不明瞭な記述の具体化・明瞭化箇所の特定

5 小前提2と大前提との齟齬の確認:
・「相手方が想定外の行動をした場合や、当方にとって不利な想定外事態が生じた場合」のスタディを通じて発見・抽出された「不安事項、懸念事項等の確認」が、合理的に、疑義の余地なく、契約書ドラフトにミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化されているか?
・疎漏や齟齬がある場合の不備箇所の抽出

6 それぞれの疎漏や齟齬について、これを上書き・修正するロジックやアイデアの抽出・構築

7 上記ロジックやアイデアのミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化と、契約書ドラフトへのビルドイン(移植・校正)作業

と、なります。

契約書のチェック1つをとっても、工程をミエル化すると、以上のようになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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