企業と企業との関係をどう構築するか。どのような関係性をデザインするか。
この問題を、筆者は、
「企業間ディプロマシー」
という造語で捉えています。
企業と企業の関係性は、国家間の関係性と同じく、外交課題として捉えうると考えます。
すなわち、企業間であれ、国家間であれ、組織と組織との間には
1)友好的に協調する
2)緊張感を以て警戒しつつ距離を取る
3)非暴力的な外交手法でゲームを展開する
4)暴力の応酬による闘争を展開する
と、様々な関係性がありうるところです。
具体的に言えば、企業間において
「1)友好的に協調する」
とは、業務提携等が想定されるが、度が過ぎれば違法なカルテル等にもなりうる関係性ですし、
「2)緊張感を以て警戒しつつ距離を取る」
とは、通常の関係性ですし、
「3)非暴力的な外交手法でゲームを展開する」
とは、市場において経済合理性にしたがってシェアを奪い合う健全な競争関係性ですし、
「4)暴力の応酬による闘争を展開する」
とは 、テロや破壊活動というわけではなく、合法的で洗練されたゲバルト(暴力)である、法と裁判システムと弁護士を用いて、相手に攻撃をしかけて戦争状態にと突入する関係性、
と整理可能です。
「日本企業社会はムラ社会で、業界競争より業界協調を好む」
「とかく、日本企業同士は、ガチンコ競争を避け、談合やカルテルをしがち」
という話を聞きます。
もちろん、業界によってはそのような悪弊が強く残っていますが、2000年以降、露骨なカルテルがなくなりはじめ、仁義なき競争関係にシフトしています。
無論、
「市場において経済合理性にしたがってシェアを奪い合う健全な競争関係」
が基本ですが、
「合法的で洗練されたゲバルト(暴力)である、法と裁判システムと弁護士を用いて、相手に攻撃をしかけて戦争状態にと突入する関係」
も多くみられるようになりました。
特に、成長し、シェアを伸ばす企業ほど、
「4)暴力の応酬による闘争を展開」
し、あるいは展開される状況を念頭におき、戦争遂行資源である法務や弁護士を即時起用できる体制を整えています。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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