「DD」「デューデリ」
とは、正式名称デュー・ディリジェンス(Due
diligence)と呼ばれるもので、M&A実務の世界では、
「買収対象である企業の調査」
とほぼ同義のものとして使われています。
「買い手は常に注意せよ」という法格言がありますが、
「買い物に失敗したら、すべて買い手が悪い。買主の不注意がすべての原因」
というルールが極めてシンプルかつ劇的に作用するのが、M&A取引です。
デューディリジェンスに決まりはありません。
範囲、程度、対象、予算、動員資源たるプロフェショナル、かけるべき時間やコストやエネルギー等、特にこれといった決まりはなく、広汎な冗長性を持っています。
もちろん、デューディリジェンスをしない自由もあります。
ところで、M&Aは、たいてい急ぎますし、急かされます。
売る方はなるべく瑕疵や欠陥や粗が見つかる前に売り逃げしたいでしょうし、買う側も厳しい競り合いになるので早くまとめたい、という双方の思惑もあって、尋常じゃないスピードでまとめる“買い物(しかも、対象はあいまで、かつ高額な買い物)”となります。
このため、どんなに眼力のあるプロが鑑定しても、間違いや見逃しや漏れや抜けの1つや2つ、10や20、100や1000は普通に出てしまいます。
その際、さんざん急がされた担当者(プロジェクトマネージャー)が、あとから、スポンサーやプロジェクトオーナーから
「責任とれ」
などと詰め寄られたら、たまったもんじゃありません。
そこで、デューディリジェンスというプロセスを差し挟むことによって、仮にあとから
「間違いや見逃しや漏れや抜けの1つや2つ、100や1000は出てしまった」
としても、
「自分は自分なりに相当な注意を尽くした(デューディリジェンスを果たした)んだから、多少の間違いは勘弁してよ」
という、なんとも志の低い、見苦しい責任逃れのための言い訳(デューディリジェンスの抗弁)を機能させて、営みを前にすすめていくということになるのです。
詳細は、以下をお聴きください。
https://audee.jp/voice/show/53095
「教えて!鐵丸先生」は、 32分35秒~ です
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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