<事例/質問>
分厚い契約書だから安心できると考えていいのでしょうか
<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>
契約書は約束の記録に過ぎません。
そのため、記録が分厚いからといって、約束が確実であるとは限りません。
内容が狂っていたり、実現不可能だったり、詐欺師や信用できない相手との契約であれば、どれだけ分厚くても必ずトラブルになります。
特に最先端技術や金融、投資、海外取引などの分野では、分厚い契約書に安心していたら騙された、失敗したという話が多くあります。
例えば、AIやRPA、仮想通貨のマイニング、太陽光発電、デリバティブ取引など、複雑な取引では、契約書の分厚さではなく、その内容の合理性が重要です。
内容を確認せずに取引を進めると、大きな問題に発展する可能性があります。
あるお客様の事例では、英語の契約書で独占販売権を設定した販売代理店契約を結びましたが、他にも代理店契約が結ばれており、自社の権利が無視されていました。英語で
「non-exclusive representative」
と書かれていたにも関わらず、誰もそれをしっかりと読んでいなかったため、分厚い契約書に安心していたのです。
契約書は、契約当事者が約束した内容を正確に記述するものです。
しかし、約束の内容が狂っていたり、不利だったり、目的が不明確であったりすると、その契約書も狂った内容や不明瞭な内容となってしまいます。
時間がないからといって契約書をしっかり読まずにサインするのは避けるべきです。
ラッシュディールはバッドディールという言葉がありますが、急いで結んだ契約は良い結果を生まないことが多いのです。
分厚い契約書があるから安心できると考えるのではなく、その内容をしっかり確認し、理解することが重要です。
契約書の外見やボリュームではなく、内容が肝心です。
契約書をしっかり読まずに安心するのは危険です。
契約相手の信用性や履行能力、そして取引内容の合理性や明確さが揃って初めて安心できる取引となります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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