<事例/質問>
事業に出資してもいい、という方が出てきましたが、出資というのを実はよくわかっていません。
借金とどう違うのですか?
どう考えたらいいですか。
基本的なところを教えてください。
<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>
出資と融資の違いについて説明します。
基本的に、出資は融資とは異なり、出してもらったお金を返す必要がありません。
そのため、返済のプレッシャーがないという点ではメリットがあります。
しかし、出資を受けるということは、今まで1人でやってきた会社に、投資家が参加することを意味します。
投資家は出資したお金の回収を求めるため、会社の業績を上げることや経営管理をしっかり行うことが求められます。
年に1度の株主総会を開催し、取締役の行動にも目を光らせる必要があります。
役員報酬や経費の使い方にも口出しされる可能性があり、最悪の場合、特別背任で刑事告訴されることもあります。
これは、一人暮らしで快適に生活しているところに、突然知らない人が転がり込んでくるようなものです。
出資を受けることで、自分の自由が制約されることを覚悟しなければなりません。
そうまでして出資を受ける必要があるのか、融資ではだめなのか、あるいは営業支援や業務提携といった他の方法が良いのかをよく考えるべきです。
出資であれ、融資であれ、他人を巻き込むとトラブルの元になることが多いです。
うまくいかなければ関係が悪化し、うまくいきすぎても分配で揉めて関係が悪化します。
私たちは、
「みんな仲良く、民主的に」
と教育されてきましたが、ビジネスにおいては、
「独り占め、独裁」
がもっともスピーディーで効率的です。
これは、
「責任ある経営やリーダーシップ」
と言い換えることもできますが、実質的には
「独裁的で非民主的」
な運営が理想とされています。
ビジネスと軍事作戦はよく似ています。
「風林火山」
のように、速く、静かに、火の如く攻め、山の如く動かずという行動原理がビジネスの基本です。
これを実現するには、
「独裁かつ非民主的な体制」
が最適です。
生きるか死ぬかの戦争を勝ち抜くためには、いわば日本の首相のようではなく、ロシアの大統領のような強いリーダーシップが必要です。
本当に事業資金が必要であれば、まず融資を検討すべきです。
まともな事業計画であれば、銀行が貸してくれます。
銀行が貸してくれないということは、事業計画が甘いか不合理だからです。
その場合は、事業計画を見直すべきです。家族や友人に頼るのは避けるべきです。
「資金が十分にある」
「銀行が貸してくれる」
という場合は、無理に出資者を迎え入れる必要はありません。
慎重に判断し、自分の事業に最適な資金調達方法を選びましょう。
詳細は、以下をお聴きください。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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