02035_お客様へのお詫びに念書を強要されたら(教えて!鐵丸先生Vol. 47)

<事例/質問> 

お店を経営しております。

実は、こちらの不手際があり、お客様にご迷惑をおかけしてしまいました。

お客様は激怒しているみたいですが、経営者である私が直接お詫びすることになりました。

念書にサインしてもらうから、ハンコをもってこい、と言われています。

こちらのミスであり、うまく収まるなら言う通り従おうと思っておりますが、何かアドバイスはあるでしょうか。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

「念書を書け」
と言われても、そんなもの書く義務はまったくありません。

ですので、応答としては、
「ヤだ」
が正解です。

念書作成を要求された場合、私などは、
「念書、念書、念書ってさっきから何度も言っておられますが、そんなに念書がほしいの? こっちはイヤなんだけど、そちらがどうしても念書がほしいんだったら、東京地裁に、『これこれこういう念書を作成し、交付せよ』という訴訟を提起すればいいじゃないですか。そちらが訴えたら、こっちはこっちで、最高裁まで3回は争わせていただきます。万が一、最高裁で敗訴が確定し、さらに、確定判決に基づいてそちらが強制執行を申し立てたら、その段階で、おとなしく従ったほうがいいか無視するか、改めて、考えます」
と答えることにしています。

「念書? ヤだ」
といっても、相手が引き下がらないとします。

義務がないことを強く求めたら、強要罪に該当します。

ローマ法皇や皇族の方々のように、ジェントルかつエレガントに念書や詫び状をお求めになるのであれば問題ないでしょうが、詫び状をしつこく求めるような通常のケースですと、暴力や害悪の仄めかしを伴うので、強要罪ないし脅迫罪、少なくとも迷惑防止条例違反には該当するでしょう。

実際、滋賀県近江八幡市のボウリング場で店員に言いがかりをつけ土下座させた、
「元気が良くて、声の大きい、権利意識高めの舗装工のお兄さん」
がいらっしゃったのですが、このお兄さん、大津地裁で、強要罪に問われ、2015年3月18日、懲役8月の実刑判決を食らっておられます。

あまりしつこくやられたら、こちらが被害者として、警察を呼んで対処すればいいだけです。

いずれにせよ、
「訴えるぞ」
と、明らかに実現性のないハッタリかまされてビビるのもダメですが、
「念書書け」
と言われ、言うなりになって書くのもアホです。

もちろん、こんな対処法、学校で教えてくれませんし、そもそも、教師は知りません。親も知らないでしょう。

世の中、こういう、
「学校や親が教えてくれないが、生きていく上で、絶対知っておくべき、非常識なリテラシー」
がかなりの数存在するのです。 詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/60882

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、36分22秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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