02048_通販サイト立ち上げ話がキャンセル料問題に発展(教えて!鐵丸先生Vol. 60)

<事例/質問>

友人から紹介された方がネットに詳しいということで、通販サイトを立ち上げてみる、という話になりました。

ですが、あまりその方はそれほどネットや通販に詳しいわけではなく、どこかに外注して通販サイトを作るということになってきて、見積もりも桁が違うものが出てきました。

そこで、話を取りやめにしたいと言いましたら、逆ギレされて、キャンセルするにも迷惑料を要求されています。

どうも知り合いに弁護士がいるようで、モメたらすぐにでも裁判を起こす、と息巻いています。

ここは、穏便に済ませたほうがよいでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

このような場合、相手から
「訴える」
と言われると、驚いてしまうかもしれませんが、基本的には無視することが正しい対応です。

脅し文句に屈して相手の要求に応じると、無駄にトラブルが大きくなりかねません。

「どうぞ、訴状をお待ちしております」
と突き放す姿勢が最も賢明です。

なぜなら、実際に訴訟を起こすことは相手にとって非常に高いハードルがあるからです。

訴訟を提起する際には、まずその具体的内容を
「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」
する必要があります。

具体的には、
「いつ、誰が、どこで、どうして、どのようなことを行い、それがどのような法律要件に該当し、損害賠償請求権を生み出すのか」
を明確にすることが求められます。

また、賠償額をいくらに設定するかという問題もあります。

1万円、10万円、100万円、それとも1億円か。

賠償額が大きくなるほど印紙代も高くなり、費用がかさみます。

さらに、主張する事実に関する証拠を揃える必要があります。

証拠をどのように整理し、提出の準備を整えるかが非常に重要です。

この準備作業を独力で行うのは難しく、弁護士に依頼する場合、その費用も考慮しなければなりません。

また、仮に一審で勝ったとしても、相手が控訴すれば再び弁護士費用が発生し、最高裁まで争うことになればさらに費用が増します。

こうした疑問や課題が次々と浮かび上がり、それらをクリアするには莫大なコストと労力が必要です。

日本の民事裁判では賠償額の相場が低く、訴訟を起こしてもその費用を回収するのは難しいことが多いです。

このため、多くの人は最終的に裁判を諦めることになります。

相手が
「訴える」
と言った場合、
「どうぞ、訴状をお待ちしております」
と冷静に対応するのが最も賢明です。

相手が実際に裁判を起こす可能性は非常に低いため、恐れる必要はありません。

ただし、今後のトラブルを避けるためにも、事前にしっかりと契約内容を文書化し、相互に確認しておくことが重要です。

このように、相手の脅しに動じず、冷静に対処することが大切です。

事前の準備と冷静な対応が、トラブルを避ける鍵となります。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/83109

※「教えて!鐵丸先生」の収録は、上記Audeeのサイトの4番目のコンテンツ「コーナー:『教えて!鐵丸先生~エンディング』」で聴くことができます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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