02062_企業法務ケーススタディ:テレビ局から取材依頼を受けたときの対応計画

<事例/アンケート>

テレビ局から、
「ある社会問題について、実態を調査する番組を企画している。公平性を見極め、当事者や関係する個人・企業から取材したい」
ということで、わが社に取材依頼がきました。

当時の担当者はすでに退職しておりますが、記録らしきものはあります。

取材を受けたとしても断ったとしても、変な憶測を招きかねないのではないかと心配しています。

どのように対応すればいいのでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/アドバイス/指南>

対応について計画を立てるためには、次の1~6のフローに沿って、前提を整えることになります。

1 前提たる状況認識

5W2Hで事実を文書化する。

2 危機管理の方向性や相場観環境

「テレビ局が取材を申し込んできたその内容は、社会的にどのような認識や評価がされており、企業の立ち位置や見え方がどういうものになるのか」
について、一般の考え方とトップの考え方の両論が必要。

例えば、
「企業=優れた企業であり、社会に歓迎される存在」
という立ち位置をとるのか、
「企業=客の欲望を満たすためには多少やんちゃなこともやる、その意味で期待を裏切らない過激な集団」
という立ち位置をとるのかによって、方向性が変わる。

 目標の設定を

目指すべき未来図を立てる。

テレビ局が何らかの扱いをすることは既定路線だろうし、テレビ局という第三者の意思や行動を制御することは困難だが、企業側の努力によって、影響を与えられる可能性はある。

このことをふまえ、成功イメージとして
「テレビ局が、このような取り上げ方をしてくれれば、それでよし」
という目標を設定する。

 課題の把握

現状と
「テレビ局が、このような取り上げ方をしてくれれば、それでよし」
というゴールとその間に横たわる課題をすべて発見・抽出・特定する。

 課題への対応上の選択肢

発見・抽出・特定された課題を解決し、改善し、あるいは緩和し、転嫁するために、企業の努力で可能な方法論を、すべて出す。

各方法論においては、メリット・デメリット・カニバリ(自社の商品が自社の他の商品を侵食してしまう現象)を出すのは必須。

6 選択肢の採否判断

「結果にすべて責任を負う意思と能力のある人間」
が選択をする。

ゴールが達成できればいいが、うまくいかないとき・うまくいかなさそうなとき・完全に失敗したときは、
・試行錯誤
・ゲームチェンジ
・新たなプロジェクトの立ち上げ
の形で、最終的に、諦めるか、納得できるか、踏ん切りがつくまで、ゲームを続けていく。

テレビ局は回答を急かすでしょうが、1~6がなければ、対応について計画を立てることはおろか、弁護士による助言の前提が整いません。

本来、合理的な経営モデルを実装している会社なら、非常に簡単な前提整備でしょう。

仮に、この前提を整えるのが自力で無理なら、弁護士にこの事前整備を含めて依頼するといった形で、支援の前提を整えることとなります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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