02068_弁護士の役割とクライアントの協力体制その1_「最善解模索アプローチ」

弁護士として、クライアントとプロジェクトとの関係を構築する際に重要視している点がいくつかあります。

まず、弁護士が関与する前に生じた不利な状況に対して、クライアント自身がどの程度反省し、その原因を整理して総括しているか、ということです。

これに加えて、弁護士のアプローチである
「正解探求ではなく、最善解を模索する」
という考え方をクライアントが十分に理解しているか、ということが重要です。

また、有事に対応するためのチームの構成や役割、運用の在り方についても、クライアントが理解することが重要です。

弁護士としては、問題が発生した際に迅速に対応できるよう、適切な体制チームを整えます。

そのためにはクライアントも、チームの構成や役割分担についてしっかり理解していなければなりません。

そうでなければ混乱が生じ、スムーズな対応ができなくなるからです。

さらに、弁護士が提供するサポートについて、クライアントが費用面でも適切な負担をできるかどうかも大切です。

弁護士は、リスクを十分に勘案した上で、現状に基づいた選択肢を提案します。

この際、リスクが
「存在しない」
と仮定するのではなく、リスクが常に潜在的に存在していることを前提にした選択肢となります。

弁護士は、都度、腹案をクライアントに伝えることもありますが、最終的な意思決定はクライアントが行うべきものです(弁護士が意思決定を代理するのは、かえって無責任となります)。

そのため、クライアント側も十分な情報を整理して弁護士に提供し、共に判断環境を整えていくことが求められます。

判断環境の構築は、主に資料分析やヒアリングにて行います。

このプロセスでは、唯一無二の選択肢にすべてのリソースを投入するのではなく、状況に応じて最善の選択肢を選択し、もしうまくいかなかったた場合には、その経験からさらに賢明な判断を行い、よりましな選択肢や新たな修正案を加えつつ、次のステップを考える
「最善解模索アプローチ」
が基本となります。

このアプローチは、状況の変化に応じて柔軟に選択肢を変える必要があり、クライアント側からすると、まどろっこしく感じることもあるでしょうが、状況不安性を考慮し、相手の動きに合わせて柔軟に対応していくことで最善解に近づくことができます。

また、戦略的な意思決定のフェーズにおいては、弁護士としては、常識にとらわれない極論やアングルや時間軸や空間軸を一変させた考え方を含め、より広範な選択肢を提案することがクライアントの意思決定に資するものと考えており、これが誠実な対応と心得ております。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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