プロジェクトにおいて、目的軸の設計、課題の抽出、そしてシナリオ(仮説)や実施上の問題について、まだ明確な責任者が決まっていない時点で、
「弁護士が出る必要はない」
という判断をくだすのは、早計に失するといえましょう。
この
「弁護士が出る必要はない」
という判断が、適切であるかについて一考する必要があります。
具体的には、
“「(弁護士が出るのではなく)クライアント本人が先方に出向いて話を聞く」初手”
が戦略的に正しいかどうか、また、それが誤っていた場合のリスクやその対処については、十分に議論が必要です。
もし戦略として、この
「初手」
が誤っている場合、次のような事態が起こるリスクが考えられます。
1 目的設計や課題抽出、シナリオ策定が不十分なまま、表面的な対応を重ねる
2 その結果、プロジェクトの中盤で深刻な問題が浮上し、計画が迷走する
3 最後には弁護士に全ての修正を依頼し、「初手から相談しておけばよかった」となる
このような事態になると、弁護士としても
「初手の段階で戦略的助言ができていれば」
と感じざるを得ません。
そのため、弁護士がこの段階で関わっていない場合、後から修正に関する期待値を大幅に下げてもらう必要が出てくるかもしれませんし、場合によっては依頼をお断りすることもあるでしょう。
プロジェクトの初動から戦略設計が十分でなければ、クライアントが思わぬリスクを招き入れることになります。
このリスクに備え、
「あの手、この手、奥の手」
など多様な戦略が予め議論されているか、再確認が必要です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所