02080_企業法務ケーススタディ:法務部人手不足対策、その適否を問う

事例/質問

会社では、
「事業全体のスマート化」
を推進する方針が示されており、社長からは
「業務のスリム化と余剰人員の活用を通じて業務の見直しを進めるように」
との指示を受けています。

しかし法務部では人手不足が深刻で、法務担当者が夜23時まで残業してもなお残務が増え続け、業務に支障が出始めています。

そのため、法務以外の部門からの異動による人員補填も検討しましたが、法務業務のスキル不足が懸念されるため断念し、取り急ぎとして人件費総額を増やさず、固定化リスクも抑えられる3カ月契約の派遣社員を雇うことにしました。

鐵丸先生の回答/コメント/アドバイス/指南

今回の対応が、
「業務のスリム化と余剰人員の活用による業務の見直し」
という方針に反していないか、確認が必要です。

特に、間接部門での新規採用が本当に必要かどうかを考えるべきです。

御社が目指す
「事業全体のスマート化」
に対して逆の判断になっているのではないかと懸念しています。

もちろん、その判断を踏まえた上で、あえて派遣社員を採用するのならば、それについて否定はしません。

しかし、理解されているとおり、人材には高いコストがかかります。

そのため、派遣社員の採用が場当たり的な対応になっていないかも見極めるべきです。

現状の業務量に応じて人を増やすのではなく、
「その業務がどういう役割を果たしているか、それは本当に意味があるか」
という観点から、根本的に検討することをお勧めします。

例えば、法務部門で行っている法律確認が既に外部の弁護士に委託されているならば、法務部での業務は実質
「文書管理」
といった作業に限られているのではないでしょうか?

それならば、派遣社員ではなく、アルバイトでも可能な業務範囲になっているかもしれません。

もしこのような状況であれば、法務部門を
「現状維持するため」
の採用は、特に慎重に検討が必要です。

社内の人の手不足を
「余剰業務の見直し」
と捉えてみてはいかがでしょうか。

今や、ホワイトカラー業務の多くがICTや外部委託で対応可能となり、スマホ1台で昭和時代のホワイトカラー20人分の生産性を発揮できるくらいの環境です。

まずは、今回の採用が本当に有効なのか、徹底的に
「合理性の検証」
を行うことが重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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