弁護士の元には、様々な内容の相談が寄せられますが、大きく2つのタイプに分類できます。
1 質問や依頼内容が明確で、具体的な場合
2 何を相談すればよいのか、自分でも分からないため、一緒に整理してほしい場合
2のケースでは、弁護士がクライアントとディスカッションを重ねながら問題を整理する必要がありますが、このプロセスがスムーズに進むとは限りません。両者の認識がすれ違うこともあります。
目的と行動のズレが解決すべき課題
「何を相談すればよいか分からない」
という相談では、クライアントの目的と行動が食い違うことがよくあります。
例えば、ビジネスの場面で、目的は、
「こちらの提供する手間を最小化し、最短の期限で、もっとも多額の現金を手にする」と言う一方で、現実の行動は、
「伝統や因習を尊重し、モラルや方式にしたがって、スマートかつエレガントに、契約書を締結してくれ」
というように、目的と行動がズレてしまうケースは少なくありません。
前提が狂った相談になりがち
目的と行動がズレると、相談もズレた形になりがちです。
「伝統や因習を尊重し、モラルや方式にしたがって、スマートかつエレガントに、契約書を締結したいので、そのために、弁護士に助力を求めたいが、助力を求めるべき内容がわからないので、何を助力したいかを相談したい」
というように前提が狂った相談になってしまうのです。
弁護士としては、状況を正したいと考え、クライアントに啓蒙的なアドバイスを試みようとしますが、裏目に出ることがあります。
結果、クライアントの中には、
「そんなことわかっている。失礼にもほどがある」
と不快感を示す方もおり、双方の認識がさらにすれ違ってしまうこともあります。
弁護士としてできること
弁護士としてはクライアントの指示を待つしかありません。
「提供する手間を最小限に、最短の期限で、限界の現金を手に入れる」
という目標を達成するための不可欠のプロセスとして、
「必要最小限の取引デザインがすでになされていて、その表現面をお手伝いする上で、具体的な指示をクライアントから与えられることを前提に行動する。そのため、クライアントの指示を待つ」
と伝えるしかない、現実的な対応となる場合もあるのです。
耳の痛い話を受け入れるクライアントほど、前に進むのがはやいことは、言うまでもありません。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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