02092_企業法務ケーススタディ:電話での問い合わせに潜む「有事」のサインと対応策

【事例/質問】

電話で問い合わせがあり、その内容が会社の製品や商品の使い方などの単純なものではなく、答えにくい質問だった場合、弁護士に相談したらどのようなアドバイスが受けられるのでしょうか?

【鐵丸先生の回答/コメント/アドバイス/指南】

答えにくい質問がなされた場合、それは単純な問い合わせではなく「有事」と認識すべきです。

このような場合、弁護士はその事態を
「事件」
として扱い、解決に向けた助言を行います。

基本方針:「有事」の際のルールを徹底する

「有事の際は筆談で対応する」
というルールを確立し、徹底してください。

また、
「相手の要求を満たし、非建設的な方向で打ち返す」
という姿勢が重要です。

そうすることで、不用意に情報を提供して会社が不利な立場に立たされることを防げます。

対応の一例として、次のような文書の打ち返しが推奨されます。

「何か伝えたいことがある場合は、文書で具体的に質問してください。
質問を受け付けた場合でも、回答する義務がない場合もあります。
そのため、回答するかどうかは確証できませんが、いただいた文書については閲読し、検討することをお約束いたします」

このように、交渉を文書化することで、相手の主張内容を
「ミエル化・現実化・言語化・文書化・形式化」
することができます。

後々のトラブルを防ぐための記録として活用できるのです。

具体的な対応方法の選択肢

「有事」
への対応には、コストのかけ方に応じた2つの選択肢があります。

(1)コストをかけない場合

会社内で文書を作成し、それについて弁護士が助言する方法です。

顧問弁護士がいる場合、顧問料の範囲内で処理できるケースが多いですね。

(2)コストをかけてもいい場合

弁護士を代理人として委任し、対応窓口を弁護士に一任する方法です。

この場合、弁護士が会社を代理して対応全般を行います。

事件の規模にもよりますが、顧問割引を適用しても、着手金だけで数十万円以上が必要になる場合があります。

まとめ

突然の問い合わせに対しては、慎重な対応が求められます。

まずは
「有事は筆談で」
という基本方針を徹底し、相手とのやりとりを記録に残すことが重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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