02100_契約書チェックの管理術:リスクを最小限に抑える役割分担_事業担当者・法務担当者と弁護士

契約書のチェックを事業担当者と法務担当者に任せるか、それとも弁護士に依頼するべきか。

その判断には明確な基準が必要です。

契約リスクを最小限に抑えるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

まず、事業担当者と法務担当者が契約書のチェックを行う場合、以下の3つの条件を満たしている必要があります。

1 ルーティン取引であること

すでに何度も経験している、内容が明確で前例がある取引であれば、大きなリスクは少ないと考えられます。

2 取引額が適切な範囲内であること

契約の金額が、事業担当者と法務担当者の1ヶ月分の給与相当額以下であることが重要です。

仮にミスをしても、最悪の場合は両名の給与1ヶ月分の返上でリカバリーできる範囲です。

3 契約内容をしっかり読み込めること

事業担当者と法務担当者のそれぞれが、契約書をきちんと理解し、自信を持って
「この内容で問題ない」
と判断できるかどうか。

要するに、
「この契約が自分のお金だったとしても、問題なくサインできるか?」
という視点で考えることが求められます。

これら3つの条件を満たせば、契約書のチェックを事業担当者と法務担当者に任せることは許容範囲内といえましょう。

仮に問題が発生しても、最悪の場合は両者の1ヶ月分の給与を返上させれば済む程度のリスクです。

しかし、以下のようなケースでは、契約書のチェックは弁護士に依頼するのが適切です。

1 新規の取引である

過去に類似の事例がなく、取引相手や契約の内容が未知数である場合は、リスクが見えにくいため、弁護士のチェックが不可欠です。

2 契約金額が大きすぎる

ルーティン取引であっても、契約金額が大きく、もし見落としがあった場合に事業担当者と法務担当者の給与1ヶ月分では補填できないようなリスクがある場合、弁護士のチェックを受けるべきです。

3 契約内容が理解できない

契約書の文言が難解で、何が書かれているのか正確に理解できない場合、単に
「読んだ気になっている」
だけでは危険です。

このような状況では、弁護士に依頼するのが最も安全です。

契約書は、
「何となく読んだ気になっている」
だけでは意味がありません。

リスクを正しく認識し、適切に対処できるかどうかが重要です。

契約のリスク管理は、事業の安定にも直結します。

事業を安定して継続させるには、リスクは最小限に抑えるべきなのです。

以上の基準をもとに、契約書のチェック体制を決めることで、無駄なリスクを避け、適切な判断ができるようになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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