02102_企業法務ケーススタディ:「金商法違反だから登録が必要」は本当?—弁護士の助言を鵜呑みにする前に

<事例/質問>

ファンド運営のビジネスを考え、大手弁護士事務所に相談しました。

すると、
「金商法違反だから二種免許がいる」
と言われました。

それって、どういうこと? 本当ですか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

結論から言えば、
「金商法違反だから二種免許がいる」
という説明は、必ずしも正しくありません。

正確には、
「特定の業務を適法に行うために、登録が必要になる場合がある」
というのが正しい考え方です。

そもそも、
「金商法違反だから登録が必要」
という説明には違和感があります。

なぜなら、登録というのは、事業を合法的に行うための手続きであり、違反の結果として求められるものではないからです。

つまり、
「二種業者としての登録が必要」
ということ自体は事実かもしれませんが、その理由付けが誤っている可能性があります。

大手弁護士事務所の対応については
「ケチをつけるだけの仕事ぶり」
と言えましょう。

法律の専門家として助言をする以上、どこが問題なのか、具体的な根拠を示すべきです。

しかし、多くの弁護士は
「二種業者の登録が必要」
「金商法の届出がいる」
といった結論だけを示し、その根拠を十分に説明しません。

ケチをつけるなら、そのポイントを明確にするのが最低限のマナーでありエチケットです。

例えば、
「Aさんは嫌い。なんとなく合わない」
では、改善のしようがありません。

しかし、
「Aさんは嫌い。いつもおしりを触ってくる」
と指摘されれば、おしりを触るのをやめれば関係を改善できます。

これと同じように、
「金商法違反だから二種免許がいる」
と言うだけでは不十分です。

・そもそも、その業務が金商法のどの規定に抵触するのか?
・規制を回避できるスキームはないのか?
・適用除外や例外規定はないのか?

こうしたポイントをしっかり議論することが重要です。

例え話:「ドレスコード違反だからネクタイを頭に巻いて歩け?」

「金商法違反だから二種業者の登録が必要」
という説明は、極端な例で言えば、
「Aさんの服装はドレスコード違反だから、ネクタイを頭に巻いて歩く必要がある」
と言っているようなものです。

・Aさんの服装をきちんと理解しているのか?
・ドレスコードのどの条項に違反しているのか?
・そもそも、ネクタイを頭に巻くのが正しい解決策なのか?
・もしかすると、上着を羽織るだけで問題が解決するのではないか?
・さらに言えば、そもそもドレスコードが適用される場面なのか?
・「特定の職種なら例外」というような特例があるのではないか?

つまり、
「違反だからこうしろ」
と言われたときには、本当にその解決策が正しいのか、1つひとつ丁寧に確認する必要があります。

「本当に登録が必要なのか?」を徹底検証すべき

実際、大手法律事務所が
「二種業者の登録が必要」
「金商法の届出が必須」
と主張していた案件を徹底的に検証し、金商法の規制外の私募ファンドとして合法的に運営できた事例は数多くあります。

これは、規制の本質を理解し、正しいスキームを組み立てれば、必ずしも
「二種業者の登録」
が不可避ではないことを示しています。

ファンド運営を考える際(だけに限ったことではありませんが)、表面的な指摘に流されず、具体的な法解釈を踏まえて適切な手段を検討することが重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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