契約書を作成するとき、1文字違うだけで意味が大きく変わる言葉があります。
その代表例が
「清算」
と
「精算」
です。
どちらも
「せいさん」
と読むため、つい混同しがちですが、契約上はまったく別の意味を持っています。
この違いを理解していないと、契約の内容が意図しないものになり、その後トラブルにつながる可能性があります。
例えば、
「精算」
は、お金の支払いを確定させる場面で使われます。
会社で経費の仮払いを受けたとき、実際に使った分を計算して残ったお金を返したり、不足分を支払ったりするのが
「精算」
です。
一方、
「清算」
は、関係を終わらせるときに使われる言葉です。
例えば、会社が終了する際に財産や権利を整理することを
「清算」
と言います。
また、契約関係が終了するとき、未払いの権利を処理し、権利義務をすべて消滅させることも
「清算」
にあたります。
この2つの言葉を契約書で間違えると、契約書の文言が思わぬ意味を持つことになります。
例えば、本来
「精算」
と書くべきところを
「清算」
と記載してしまうと、
「金額の支払いを確定するつもりだったのに、契約自体を完全に終了させる」
ようなことになりかねず、トラブルの元になります。
契約書は、一字一句が重要です。
「似たような意味」
と軽く考えず、正しく理解し、正しい表現を使うことが大切です。
特に、契約書作成や契約書チェックを弁護士に依頼せず、社内ですべて対応しがちな中小企業では、このような間違いが散見されます。
契約を正しく管理するためにも、言葉の違いに注意しましょう。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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